子どもが孤独でいる時間

  • こぐま社 (1988年12月1日発売)
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感想 : 21
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新型コロナの情勢の下で久しぶりに再読。

原題は"Chirdren and Solitude"
Quaker教徒による子供と孤独に関する小冊子。松岡享子さんの「東京子ども図書館」にいって話を伺って感動をしたのを契機に読んでみた。

タイトルは「子ども」だけど大人が読んでも重要な示唆のある本。
一般的に、孤独はよくないこと、とくに子供が孤独にいるのはかわいそうといわれている。がこの著者は孤独は子供にとってとても大事な時間であり、一人でいる孤独な時間をもつことが重要だと説く。なぜならその時間こそが意識が自分の心の内へ向かい自分を発見できる可能性がある時間だから。

通常、一人でいること、孤独は病理的ととらえられる。孤独は価値をおかれてない。なぜだろうか?著者は集団でいること、みんなと一緒にいることへの強迫観念が世の中を支配してるからと。
他者とつながる時間も大切だが自己とつながることのできる孤独な時間があってはじめて、自分の外にある時間と自分の心のうちにある世界を統合することができる。孤独な時間とはその大切な時間だ。そしてそれは教会のような場所よりも、野原のような大自然の中に一人でいる際にあることが多ととく。
月並みな表現だけど孤独と孤立を分けて考えるの大事。

世の中はどんどん忙しくなる。
時間こそ最大のリソース(資源)でありこれを無駄にしてはいけないといわれている。むしろ、他者から見ると何もしてないように見える非生産的な時間に見える孤独な時間こそ人を創造的活動に向かわせることなのだろう。だからこそ人は良質な孤独な時間を大切にすべきだと。
昨今の瞑想やマインドフルネスのブームに通じるものがある50年前の本。この喧騒にあふれた世の中から立ち止まり、静かに想いを巡らせ自己と自然とつながること価値が高まっていきそう。

著者のボールディング夫人は宇宙船地球号を提唱した経済学者のボールディングの夫人。1962年にかかれた本ではあるが人類の半数以上がインターネットに接続して繋がっている大接続時代の現代、一人でいることがきわめて難しいがゆえに、「孤独」の豊かさと上手に向き合う人は希少性をもつだろう。

この本と出会うきっかけになった世田谷の東京子ども図書館もコロナの影響を受けています。支援する会員やサポータを募集してるので関心ある人はぜひ以下のURLもご一読ください。
https://www.tcl.or.jp/
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: そのほか
感想投稿日 : 2015年6月21日
読了日 : 2021年3月14日
本棚登録日 : 2015年6月20日

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