川上弘美さんの小説を読み終わると、毎度のことながら時間がしばらく経つまで、その世界観にどっぷりとはまりこんでしまう。文章のリズムのせいなのだろうか、どっぷりと浸かってしまったときは一気に読み込んでしまうのに、足先だけをほんの少し浸けたくらいでは読み進めるのは容易ではない。チーズや漬け物と似ている、発酵されゆくほどに浸かりきってしまう。その独特さ。毒毒しさに。
初期の作品ではゆったりとした中に棘を隠していて、少し気を抜いてしまえば刺されそうなほど攻撃的だったのに、今回読んだ「ざらざら」は沼の底にいるような、おどろおどろしい雰囲気がして呑み込まれそうになる。
それにしても解説の吉本由美さんのいう通り、川上弘美さんは男の子をかくのがうまい。彼女が所々で登場させる男の子(高校生以下)には、実の所私も結構どきどきさせられている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年12月9日
- 読了日 : 2011年12月3日
- 本棚登録日 : 2011年2月26日
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