ロジャー・ムーア卿への追悼観賞です。過去に何度か観賞した作品でしたが、また楽しむことができました。(^o^)v
1983年、MGM。製作はアルバート・R・ブロッコリ。監督は007シリーズの中盤を引っ張り、その後を方向づけたジョン・グレン。
そして、主演はロジャー・ムーア。しかし、この作品への主演には紆余曲折があったようです。前作『ユアー・アイズ・オンリー』の後、経営破綻した製作会社がMGMに買収されるにおよんで、「ジェームズ・ボンド」を降板することになっていたはずが、ショーンコネリーの『ネバー・セイ・ネバー・アゲイン』で主役のジェームズ・ボンドを演じるという話が持ち上がったため、ボンド役を巡ってロジャー・ムーアの取り合いになり、結局、ロジャー・ムーアは本作『オクトパシー』の方で主演することになったといういわくつきの主演作です。
自分は当時高校生でしたが、ショーン・コネリーの「ジェームズ・ボンド」とロジャー・ムーアの「ジェームズ・ボンド」がガチ勝負しているなあということで話題にもなっていました。
結局、この『オクトパシー』はロジャー・ムーア007の完成形となり、以降のシリーズの雛型にもなった作品であると思いますので、本作の方を選んで良かったのではないかなと思います。
今回のボンドガールは『黄金銃を持つ男』に引き続いてのモード・アダムスと、ペンギン衣裳やハーレム衣裳?が眩しいクリスティナ・ウェイボーンです。むふふ。(笑)
そして、悪役には謎の大富豪カマル・カーン役のルイ・ジュールダンとソ連陸軍の将軍オルロフ役のスティーヴン・バーコフです。スティーヴン・バーコフはこの頃、『ビバリーヒルズ・コップ』や『ランボー2 怒りの脱出』で立て続けに悪役を演じていて、ちょっとした悪役有名人でした。(笑)
またMは『私を愛したスパイ』で艦隊司令官役だったロバート・ブラウンに交代、それにこの頃、ソ連のゴゴール将軍役のウォルター・ゴテルは常連になっていて今回も登場していました。
『007』にはクライマックスが3回あると言われていますが、これはジョン・グレン監督の頃くらいからでしょうか。オープニングとラストのちょい前と本当のラストの3回ですね。
まさしく本作は最初の小型ジェット機のシーンと、核時限爆弾のシーンと、そして最後の空中戦の場面とでくっきり3回あります。
どれもハラハラドキドキするシーンでそれぞれがクライマックスに違いなく、それぞれ趣向を凝らした演出なので大いに楽しめました。
それに、前作からのジョン・グレン監督の方針なのかもしれませんが、あまりこれといった秘密兵器は出さず、肉体アクションとスリルで盛り上げるという作りも良かったですね。
そして、ロジャー・ムーアです。さすがに寄る年波はみえてきていますね。身体のシャープさが失われようとしているのが目に見えるんですよね。しかし、歳は重ねているとはいえ、若い頃の007に比べてダンディーさが増しているのと、所々に挟まれるコメディーの演技も冴えてきていて、逆にオジサンらしく女たらしの方にも説得力があるので(笑)、もう一息がんばってほしいと思いました。(笑)ここまでくると本人は演じるのが辛かったようですが・・・。
次作『美しき獲物たち』を最後に「007」を勇退するロジャー・ムーアですが、その後もシリーズの顔として活躍したのは嬉しい限りでした。
シリーズ中盤としてのロジャー・ムーア『007』、そしてロジャー・ムーア=ジェームズ・ボンドの集大成と思える一作です。
- 感想投稿日 : 2017年6月7日
- 読了日 : 2017年6月7日
- 本棚登録日 : 2009年12月29日
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