孤宿の人(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年11月28日発売)
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本棚登録 : 3936
感想 : 322
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加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。(裏表紙より)

久々に一気読みしてしまいました!前半は私にとって毎度おなじみの「時代小説アレルギー」が出てしまいなかなか読む手が進まなかったのですが、後半はそれこそノンストップでした。
大人たちのそれぞれの思惑の中で翻弄されながらも、何とか自分なりに生きようとするほうの健気さ、それを表から陰から支える周りの人物の温かさ、そして宇佐とほう、ほうとあの人物との間に芽生えた儚くも強い絆。読み終えたときには思わずホロリと来てしまいました。これからほうはどのような人生を歩むのか。きっと凡庸ながらも力強く生きていってくれるのだろうなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年12月1日
読了日 : 2015年12月1日
本棚登録日 : 2014年6月26日

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