叢小榕編著『老荘思想の心理学』(新潮新書、2013)
福島県のいわき明星大学教授を務める著者が、同大学の心理学者との会話から老荘と現代心理学の類似に気づきまとめあげたもの。元東北大教授の國分振氏などが共同執筆者として名を連ねています。
内容は道家の古典のエピソード紹介→心理学理論に照らしたコメント、という構成になっており、新潮新書らしくサラッと読めます。かなりあっさり風味なので、古典好きだと物足りない感が強い印象です。
例えば『老子』の「足るを知る」を取り上げ、心理学における「欲望」の位置づけについて解説しています。
【本文より】
◯欲を出すことより大きな罪悪はなく、足ることを知らぬことより大きな禍はなく、厭きなくむさぼることより甚だしい不幸はない。ゆえに、足ることを知って満足すれば、常に満足である。(『老子』第64章)(p.128)
◯心理学では、欲求は欠乏や必要を満たしたい、という緊張状態だと考えられている。行動することによって、欠乏や必要が満たされれば、緊張は解消するが、続いて新たな欲求が生じ、その緊張を解消するため、また行動が生起する。この際限のない欲求による緊張の連続こそが、悩みのもとである。(p.130)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2015年9月16日
- 読了日 : 2015年9月16日
- 本棚登録日 : 2015年9月16日
みんなの感想をみる