財閥系列の一流自動車メーカー『五代自動車』がリコール隠しの発覚をきっかけに、崩壊していく…という
明らかに三菱ふそうの事件をモデルにしたと思われる内容。
会社という「国」の専制君主として君臨し諫言をした社員を次々と追放するトップ達、自分達では意見を言わず彼らに追従するだけのエリート社員、顧客の安全よりも自己保身ありきの隠蔽体質、一流ゆえの傲岸、コンプライアンス軽視―――一流としての誇りを失った大企業が抱える病根を、企業の社員とそれを取材する新聞記者の内側と外側の二つの視点から描く。
一方で、自分達の力に限界を感じ始めている中年サラリーマン達の挫折と彼らの新しい生き方の模索が生々しく、そして熱く表現されている。
こう書くと実に堅くてしかも暗い内容の小説に思えるが、
登場人物達のウィットに富んだ会話が、読者を楽しませてくれるので、最後まで飽きずに一気に読むことが出来る一冊。
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カテゴリ:
経済小説
- 感想投稿日 : 2008年2月24日
- 本棚登録日 : 2008年2月24日
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