近現代日本史と歴史学 - 書き替えられてきた過去 (中公新書 2150)

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年2月24日発売)
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 「開国」「倒幕」「維新政権」「自由民権」「大日本帝国論」「日清・日露戦争」「大正デモクラシー期」「アジア・太平洋戦争」「戦後社会論」の9つの時期区分・テーマ別の戦後近現代史学史概説。

 戦後の歴史学研究の潮流を、第1期(敗戦-1950年代~)=「社会経済史(マルクス主義・近代主義)」、第2期(1960年代~)=「民衆史」、第3期(1970年代後半~)=「社会史」と区分けし、それらが重層的に日本近現代史研究を規定しているという見方を前提に、代表的な研究業績をそれぞれの時代状況との緊張関係の中に位置づける。大学の歴史教育の講義が元になっているので、初学者のための研究入門テキストと言える(そのまま教科書や文献ガイドとしても使える)。著者のバイアスによるテーマ設定や文献選定の偏り(例えば意識的に「実証主義」系の業績を軽視している)に異論はあるだろうが、戦後の近代史学の大まかな流れと学界の現状の見取り図を理解する上で非常に便利な本だと思われる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史(近代・現代)
感想投稿日 : 2012年6月11日
読了日 : 2012年6月11日
本棚登録日 : 2012年6月11日

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