シャンタラム(上) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2011年10月28日発売)
4.06
  • (101)
  • (88)
  • (49)
  • (11)
  • (5)
本棚登録 : 1260
感想 : 87
5

旅先で読了。実話に基づいた波乱万丈な大河小説。上中下巻1800ページ超えの長編だが、最初から世界にどっぷりハマり、途中グロいシーンがあるもそれを凌駕する面白さがあった。

壮絶な事件が次々と起こり、主人公はダイハードな人生を歩んでいく。その中に哲学的な思考、恋愛、人間愛が織り込まれている。

スペクタクルなシーンが満載なのに深みを感じるのは、著者が繊細な心を持っているから?描写もリアルに想像が出来るし、文書も美しい。

登場人物も皆活き活きとしていて魅力的。特にマフィアのドン、カーデルの懐は深く魅了された。そして彼の吐く哲学的な言葉は印象的だった。
『人は正しい理由から間違った事をする』
『あらゆる高潔な行いは暗い秘密から生まれるものだ』など。

何気ない伏線が後から意外なオチになっていて驚いたり、ラストを読むとまた再読してあれこれ答え合わせがしたくなる。

インドムンバイのスラムでのディープな記述は貴重な実録で、インドの牢屋や警察やマフィアとの日々には心底身震いする。兎に角おっかない。

壮絶な疑似体験から帰還して読後ホッとしたものの、ネットで著者を検索してみるとyoutubeでCNNのインタビューなんかもあり、更にシャンタラムの世界が広がった。

ジョニー・デップが映画化するという話が10年以上も流れている様だが、映画がチープにならないといいなぁと心から思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2017年10月31日
読了日 : 2017年10月16日
本棚登録日 : 2017年10月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする