花を旅する (岩波新書 新赤版 722)

著者 :
  • 岩波書店 (2001年3月19日発売)
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本棚登録 : 46
感想 : 9

2015年度後期の記録

(1)どんな本か
 日本の風景を彩る季節の花を1年12か月で一章ごとにとりあげ、花の名所への旅や文学、芸能、伝承などについても書かれており、時空を超えた花との出逢いから、花に託された日本人の心をさぐっています。

(2)特に注目するところ
 とことんまで咲ききって、ある時期が来たら一瞬にして、一瞬にして、一斉に思い切って散っていく。こうした生ききって身を捨てるという散り際のよさが、日本人にはこたえられないのではないでしょうか。「死に花を咲かす」ということばさえあります。(P.11)
 日本人は年中行事の生活の象徴として、和歌を中心とする生活文化として、あるいは神聖なものを懼れる心、男と女の奥深い愛を表現する手がかりとして、季節の花が重要なカギになっていることに、改めて驚きをおぼえます。(P.67)
 節季、自然の折り目節目を大事にしながら、自然の移り変わりと共に生きていくという気持ちが、日本人にはあります。いわゆる年中行事です。(P.155)
 ただ咲いているように見える花も、じっくり見るとそれぞれの花にそれぞれの魅力や歴史が詰まっており、とても奥深いものです。また、その季節にしか咲かない花もあるので、その時々に咲いているそのときかぎりの花を楽しみ、花の奥ゆかしさを味わうことをおすすめします。

(3)感想、意見
 1年12か月それぞれ季節の花が存在し、それぞれの花に長い歴史が存在するということを知り、ただ咲いているだけに見えた花々におもしろさを感じました。この本を読んでいくと、『源氏物語』や『枕草子』など、古い時代の小説に関連した歴史を持つ花が多くあり、小説と照らし合わせながら花について知ることができます。日常生活の中でも季節の花にもっと目を向けてみようと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人文科学
感想投稿日 : 2016年3月3日
読了日 : 2016年3月3日
本棚登録日 : 2016年3月3日

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