・憂国
三島由紀夫の生涯の理想を集約させた一編。
現実感のある話であって、隅々にまで
理想を織り込まれた日本男児の在るべき生と死が
書き詰められている。
先日読み終えた、カフカの変身は
現実味の帯びていない設定を舞台とした
人間社会の不条理のリアリティを突き詰めた作品であり
その対極に位置するような作品だった。
読み終えた時には盛大な
スタンディングオベーションを彼に
送りたい気持ちだった。
だが三島の最も尊敬すべきところは
この作品で作り上げた理想を小説のみならず
現実世界の中でその身を持って果たしたことであろう。
死に損なうくらいならば
選択された死に狂いこそが
尊厳を持つ勝利の死だと葉隠では語られていた。
何よりも彼の肉身の人生こそが
賞賛されうる偉大な1つの大文学に違いない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2017年8月18日
- 読了日 : 2017年11月6日
- 本棚登録日 : 2017年8月18日
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