花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1968年9月17日発売)
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本棚登録 : 2595
感想 : 235
5

・憂国
三島由紀夫の生涯の理想を集約させた一編。

現実感のある話であって、隅々にまで
理想を織り込まれた日本男児の在るべき生と死が
書き詰められている。

先日読み終えた、カフカの変身は
現実味の帯びていない設定を舞台とした
人間社会の不条理のリアリティを突き詰めた作品であり
その対極に位置するような作品だった。

読み終えた時には盛大な
スタンディングオベーションを彼に
送りたい気持ちだった。

だが三島の最も尊敬すべきところは
この作品で作り上げた理想を小説のみならず
現実世界の中でその身を持って果たしたことであろう。

死に損なうくらいならば
選択された死に狂いこそが
尊厳を持つ勝利の死だと葉隠では語られていた。

何よりも彼の肉身の人生こそが
賞賛されうる偉大な1つの大文学に違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 純文学
感想投稿日 : 2017年8月18日
読了日 : 2017年11月6日
本棚登録日 : 2017年8月18日

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