われに五月を (ハルキ文庫 て 1-10)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894566828

作品紹介・あらすじ

五月をこよなく愛し、五月を生きた寺山修司は、本書で、その文学の才能を余すところなく発揮した。22歳の青年寺山が紡ぎ出した詩・短歌・俳句・戯曲・ジュリエット・ポエットという、ジャンルを超えた珠玉の作品の数々。青春の結晶ともいうべき輝くばかりの記念碑的処女作品集、初文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 5月になると、読みたくなる詩集。毎年バラの花の季節になると、これと、西脇順三郎あたりが読みたくなります。私が実際に持っているのは、寺山修司の墓碑の写真を表紙にしたソフトカバーのものです。80年代に思潮社から出たもので、たぶんもう絶版。

    この本にあった、「五月に咲いた花だったのに 散ったのも五月でした」という母ハツさんの追悼文と、あの有名な「きらめく季節に/たれがあの帆を歌ったか/つかのまの僕に/過ぎてゆく時よ/二十才 僕は五月に誕生した」という詩句から、五月生まれと思い込んでいたのですが、実は寺山修司は12月生まれ。亡くなったのが、1983年5月4日でした。

    このとき私は小学生。寺山修司の作品を読んだだことも実験映画を見たこともありませんでしたが、テレビのニュースで白塗りの異様な風体の男女が「寺山修司が死んだ!」「寺山修司が死んだ!」と号泣していたシーンだけは鮮烈に覚えています。今思えば天井桟敷の劇団員の方でしょう。

    角川春樹って映画プロデュースだのコカインだのとうさんくさいイメージがあるかも知れないのですが、実はあれで俳人でもあります。角川書店も創業時代は詩集とか国文学に強い出版社でした。で、このハルキ文庫というのが、吉野弘詩集とか、吉増剛造詩集とか、石垣りん詩集とか、くぅっとくるラインナップの詩人を揃えているのですね。

    そんなわけで、この文庫を本棚には入れてみました。今だと比較的手に入りやすいのは、日本図書センターが2004年に刊行した愛蔵版のようです。

    中学生から高校生にかけて、寺山修司の詩、短歌、戯曲、童話などを立て続けに読みました。その頃好きだったのは、優しいリズムのソネットなんかだったけど、今はやっぱり短歌と自由詩に魅力を感じます。そしていつか、この開いた本の形のお墓を訪ねてみたいなぁと思うのです。東京八王子の高尾霊園にあるのです。

    今年なくなった父のお墓が高尾なので、いつかお参りついでに行ってみたいと思っています。

    カジポンさんのHPより、寺山修司の墓。
    http://kajipon.sakura.ne.jp/haka/h-n-sakka.htm#terayama

  • 貝殻を耳にあてては、この音でもなかったと海の底へ投げすてる。(ジュール・シュペルヴィエル)

    お昼になったら、お腹が空いてきた(ルイ・アラゴン)

    生活しなければ作品が書けない、と人は言うが、それならば、いつになったら生活したから作品が書けるというのだ。この定過去は倫理的にいっても死を意味してはいないだろうか?(ヌーヴェル・リテレール紙)

  • 思潮社の単行本を持っているのに、つい文庫でも買ってしまったのだけど、内容は同じ。文庫のほうが段組みがなくて読み易い気もするけれど、単行本のほうが味がある。解説は詩人の白石かずこ。

  • ビブリア古書堂の事件帳5で謎解きのキーになっていた作品。

  • ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~つながりで。鮮烈な、これが二十歳の作品なのかと思うと、なおさら。短歌、詩、俳句、ショートストーリーで構成された初作品集/あゝ五月暗き馬小舎にて読みしジャンコクトオも肥料の匂い/川舟の少年われが吐き捨てし葡萄の種のごとき昨日よ/春は巨きパイプが大地を貫きて来て吹きだせり青春も斯く/ふりむけばすぐ海青し青春は頬をかすめて時過ぎてゆく/軒燕古書売りし日は海へ行く/石狩まで幌の灯赤しチェホフ忌/胸病めばわれにも青き山河ありスケッチブック閉じて眠れど/桃ふとる夜は怒りを詩にこめて/?瑰に砂とぶ日なり耳鳴りす/旅愁とは雨の車窓に夜の林檎

  • 晴れの日に読んでも、雨の日に読んでも、さっと寺山ワールドへ旅できます。

  • あらゆるジャンルの言葉が詰まっていて、本当に表現をするために生まれてきた人なんだなぁと改めて圧倒される本。

  • 永遠の5月を生きた寺山修司の詩集。
    ジャンルを越えた作品集。
    若さって何だ(笑)

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著者プロフィール

詩人、歌人、劇作家、シナリオライター、映画監督。昭和10年12月10日青森県に生まれる。早稲田大学教育学部国文科中退。青森高校時代に俳句雑誌『牧羊神』を創刊、中村草田男らの知遇を得て1953年(昭和28)に全国学生俳句会議を組織。翌1954年早大に入学、『チェホフ祭』50首で『短歌研究』第2回新人賞を受賞、その若々しい叙情性と大胆な表現により大きな反響をよんだ。この年(1954)ネフローゼを発病。1959年谷川俊太郎の勧めでラジオドラマを書き始め、1960年には篠田正浩監督『乾いた湖』のシナリオを担当、同年戯曲『血は立ったまま眠っている』が劇団四季で上演され、脱領域的な前衛芸術家として注目を浴びた。1967年から演劇実験室「天井桟敷」を組織して旺盛な前衛劇活動を展開し続けたが、昭和58年5月4日47歳で死去。多くの分野に前衛的秀作を残し、既成の価値にとらわれない生き方を貫いた。

「2024年 『混声合唱とピアノのための どんな鳥も…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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