古語拾遺は、平城天皇の下問に応じて大同二(806)年に斎部広成が上呈した文書である。大化の改新以来、朝廷祭祀は中臣氏が主導権を握り、斎部(忌部)氏はその下風に立たされていた。そのため、広成はここぞとばかりに忌部氏が祭祀を司る正当性を訴えたのである。その心情は、序の「蓄憤(積もり積もった憤懣)をのべまく欲す」という言葉に如実に現れている。日本書紀を下敷きにした短い文書であるが、古語についての独自の語源解釈を展開したり、天岩戸の場面で忌部氏の遠祖太玉命が活躍するなど異説も散見され、興味深い資料となっている。
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2012年7月11日
- 読了日 : 2010年3月13日
- 本棚登録日 : 2012年6月10日
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