幻想と現実が交差する少し暖かく静かな物語。
長野まゆみの世界観は好きだ。
現実とファンタジーの比率がちょうどよい。
夢心地になりながらも魅力ある登場人物たちのおかげで、味のある素敵な物語に仕上がっている。
物語の主人公は美しい顔立ちを持ちながらもだて眼鏡をかけ、言動も感情も冷ややかで現実的な少年リュス。
そのリュスが勤めるのがミロナの町にある地図収集館。
長野まゆみが文章で描く建物や街並みは美しいという印象が残る。
そしてリュスを取り巻く様々な魅力を持つ登場人物たち。
そして登場人物たちはどれも優しい雰囲気を纏う。
リュスはこの物語で自分自身の大きな真実を終盤知ることになる。
言葉や文章が巧みで伏線に気付いても、それは前置きでさらに伏線があることに気付かない。
最後の最後でしてやられた感があっても暖かい気持ちになるのは、この物語が纏う不思議な世界観と長野まゆみの魅せる文章の力なのだと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年9月8日
- 読了日 : 2011年5月25日
- 本棚登録日 : 2011年5月25日
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