「心の傷」は言ったもん勝ち (新潮新書 270)

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  • 新潮社 (2008年6月1日発売)
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2008年07月22日 03:21

躁鬱病に各種ハラスメント、解離性障害にPTSD・・ 最近になってぐっとメジャーになった病名や現象。

私には「言ったもん勝ち」とまでは言えません。でも、若干疑問を抱えてたのも事実。

「もう全部いやだ」と沈み込んでる人に、「がんばれ!やりとげろ!!」と無理強いすることがいいとは思わない。
けれど「がんばれとは言わないよ、今はゆっくり休みなさい、自分がいいと思うまで」と甘やかすのも違うと思う。

~ハラスメントもしかり。「~された!許せない!」と憤慨する人に、「何言ってるんだ!社会においてそんなことも我慢できないのか!女は、部下は、そういう扱いをされるものなのだ!」
これはおかしい。
かといって、「そうだ!じゃあ訴えてしまえ!社長に直訴だ!飲み会?世間話?こっちが嫌な思いしたら全部ハラスメントなんだよ!」といきまくのは、なんというかくだらない。コミュニケーションというものを理解していない。

だから、いわゆる「空気を読む」ことが重要になると思う。
この言葉を嫌いな人がいるから、言い換えるとすれば、「配慮・思慮・分別をもつ」。あと、「中庸」な態度で何にでも接すること。

自分のことしか考えられない、自分だけが被害者だと思いこむ。
それは心の病じゃなくて、ただ社会性を身につけてこなかったせいではないだろうか。

この本は若干過激だけど、ひとつすごく納得したのは、
「(体の)病気になった人を責めはしない、でも”普段から体調に気をつけ、免疫力を高めることはできたのではないか”とアドバイスはできる。心の病も同じで、普段から精神力を鍛えることはできる」
という内容の部分。

心の傷はいつ受けるかわからない、そうよく言われる。ならば私はいつそうなってもいいように、使ってあたって、しなやかな精神を鍛え上げたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 可もなく不可もない本(幅は大きい)
感想投稿日 : 2012年1月31日
読了日 : 2012年1月31日
本棚登録日 : 2012年1月31日

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