悪魔が目をとじるまで 上巻 (新潮文庫 リ 7-2)

  • 新潮社 (1991年1月1日発売)
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本棚登録 : 40
感想 : 3
5

エルロイ以前で一番好きだった作家、デイヴィッド・リンジー@新潮文庫。

キングを思わせる濃密でくどい描写に加えて、この人の特徴はじっとりとした粘りつくような空気の質感まで感じ取らせる描写力があること。
ほとんどの作品がヒューストンやデトロイトを舞台にしていて、それがどんな場所かは全く知らないで読んでいるはずなのに、いつのまにか映画でも見ているように、自分がその場にいるように、肌がじっとりと汗ばんでいたりするような、そんなリアリティがある。

他のシリーズとは全く違う主人公、設定の本作。ネタは女性の連続殺人事件。よくある。
しかし、殺された女性たちに共通するのがセレブ、危険度の低い高所得者層だったということ。
地元警察の女性捜査員が、同僚にセクハラされたり、相棒が燃え尽きそうになるのに悩んだり、ナワバリに踏み込んできたFBIと対立したり惹かれあったり、とにかく事件も濃いし、登場人物も濃い。
背後関係も濃いし、くどいし、何と言ってもセレブ御用達のSMクラブとレズビアン嗜好まで、読めば読むほどディープな世界に足を突っ込んでしまうことになるので途中でやめることができない。

この本は初めて読んだ時に脳みそが沸騰するほど衝撃を受けて、あまりに凄いので人に勧めまくったのだけれど、上下巻のせいか、煽り文句のせいか、あまり手にとってもらえなかった。
悔しかったので、都合、4回ぐらい買い換えて配ったくらいこの本は凄い。何度読み返しても凄いと思うので、本当に凄いと思います。はい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノワール
感想投稿日 : 2008年4月27日
読了日 : 2008年4月27日
本棚登録日 : 2008年4月27日

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