国家戦略特区の正体 外資に売られる日本 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2016年2月17日発売)
3.38
  • (3)
  • (1)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 81
感想 : 10
4

堤未果「政府はもう嘘をつけない」の中で紹介され、その存在を知った本。〈安倍政権が成長戦略の一つとして進める「国家戦略特区」、日本のGDPの半分以上を外資に売り渡さんとする亡国の経済政策の危険性を暴く〉ために書かれた本です。

規制があるのをさも悪いかのように描く「岩盤規制」という言葉を使い、国民生活に必要な分野(医療・農業・教育・雇用等)を解体させていく政策は、貧困と格差を生み出すという結果しか生みません。

憲法95条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」と規定されていることを知りました。そうすると、「国家戦略特区」を地方自治体で進める際には住民投票が必要ですが、そのようなことは一度もないとのこと。安倍政権が立憲主義に基づいていないことが、安保法制のみならずこの分野でもそうであることが確認できました。

政治の方向、その背景にあることを丁寧に解き明かし、多くの人に伝えていかないと大変なことになります。堤さんの著書同様、読み終えて怖ろしさと憤りが強く湧いてきました。このまま黙ってはいられません。

お勧めの一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2016本
感想投稿日 : 2016年8月14日
読了日 : 2016年8月12日
本棚登録日 : 2016年8月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする