この著者の本はいつも水準が高く、がっかりさせられることがない。
軍事は政治外交の延長線上にある問題であることからいえば当然だが、広い視野で物事を見る姿勢は一貫しており、ぶれがない。
本書が論じる事柄の一端を挙げてみる。
著者は小泉元首相を「防衛面ではノーミス」と評価する。それはなぜか。さらに小泉が叫んだ「自民党をぶっ壊す」なるスローガンの真意はどこにあり、それは我が国の外交防衛とどう関連しているか。アメリカがF-22を我が国に売らないのはなぜか、など。
これらの分析が真実をついているかどうかは私にはわからないが、説得力を感じることは確かである。そもそも、この手の書物を読む意味は、著者の到達した結論を知ることより、結論に至った過程、すなわち評論の幅の広さとか、考慮した要素の広がりに学べる点にあるのではないだろうか。
時の経過とともに入手が困難になるタイプの書物であるので、なるべく早期の購入をお勧めする。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
軍事・戦史
- 感想投稿日 : 2013年2月17日
- 読了日 : 2013年2月16日
- 本棚登録日 : 2012年9月21日
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