東海道中膝栗毛 (少年少女古典文学館)

著者 :
  • 講談社 (1992年8月11日発売)
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本棚登録 : 30
感想 : 6
5

(2013.02.01読了)(2013.01.30借入)
【日本の古典】
「一日江戸人」杉浦日向子著、を読んだらこの本を読みたくなったので借りてきました。
読んだことはないのに、何となく内容を知っている気になっていたのですが、想像以上にテンポがよく面白い本でした。
弥次さんと喜多さんの二人で、江戸から東海道を伊勢まで旅をする話です。実に珍道中です。実に気のいい二人です。歩くのが基本でしょうが、駕籠に乗ったり、馬に乗ったり、船に乗ったり、川を渡る時は、人に乗ったり輿に乗ったり、知らないための失敗の数々、当時の人にとっては、一種の旅行ガイドになったのかもしれません。

【目次】
発端
日本橋から風にふかれて
小田原宿、底ぬけの大さわぎ
箱根八里、ああ勘ちがい
三島、とんだすっぽん鍋
富士をながめてだまされた旅
蒲原、天井ぶちぬき事件
府中にて貧乏旅行終えにけり
瀬戸でいっぱい食った、一杯食った
大井川やっとわたって駕籠をおち
弥次さん、なぞの涙をながす
浜松の幽霊騒動
乗合船にへびにょろにょろ
侍と駕籠かきに一勝一敗
比丘尼に遊ばれ、狐の影にもてあそばれる
桑名への小便道中
餅とまんじゅうの手品をあじわう
喜多さん、馬の背で念仏
弥次さん、作者一九に化けそこない
迷子になった弥次郎兵衛
弥次喜多、はじめてぐっすり
弥次喜多の世界とはなにか  村松友視
解説  興津要

●風が吹けば箱屋が(99頁)
風が吹けば砂ぼこりが立ちますわなあ。
砂ぼこりが立てば、それが人の目に入ることになる。
すると、目を悪くする人がたくさんでる。
目を悪くして目が見えなくなってしまうと、三味線でも習おうかということになる。
三味線の胴の皮にするために、猫が犠牲になる。
ねずみが大あばれして、世間の箱という箱をかじるでしょ。
●疑問は人間を成長させる?(173頁)
疑問ってのは人間を成長させるんじゃないのかな
●つつがない(228頁)
ツツガムシというダニの一種がいる。この幼虫に刺されるとツツガムシ病にかかり、全身に吹き出物ができ、熱が出るなどの症状を起こす。
「つつがない」とは、このツツガムシ病にかかっていない状態のことで、つまり健康であることを意味する。
●地名のシャレ(231頁)
その手は桑名の焼きハマグリ
いわぬが花の吉野山
おそれ入谷の鬼子母神
●宿の名を忘れた(277頁)
「棚からぶら下がったような名前の宿を知りませんか。」
「藤屋でしょう。」
●膝栗毛(301頁)
膝栗毛とは、自分の足を、濃い茶色の栗毛の馬のかわりにして歩く意味で、歩いて旅行することをいった。
●弥次、喜多の滑稽(306頁)
小田原で五右衛門風呂の底を踏み抜いたり、三島で泥棒のゴマの灰に金を盗まれたり、舞坂から新居への乗合船で、蛇騒動にまきこまれたり、雲津で十返舎一九と名のってにせものとわかって恥をかいたりと、ばかばかしい失敗が繰り返され、これを狂歌で締めくくるというスタイルで物語が進められていた。

☆関連図書(既読)
「南総里見八犬伝」杉浦明平著、世界文化社、2007.03.01
(2013年2月4日・記)

(「BOOK」データベースより)
ここに登場するのは、名コンビ弥次さんと喜多さん。花のお江戸をあとにして、のんびり観光旅行としゃれこむはずが、小田原では風呂の底をぬき、浜松では幽霊に腰をぬかす。宿場宿場で大騒動をくりひろげ、こりずにドジをふみつづけながら、各地の名物にはちゃんと舌づつみを打って、東海道を一路西へとむかうのであります。あまりのおもしろさに、江戸時代の読者たちもつぎへつぎへとつづきをのぞみ、作者十返舎一九も期待にこたえて、あとからあとから続編を書きついだという大ベストセラー。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の古典
感想投稿日 : 2013年1月31日
読了日 : 2013年2月1日
本棚登録日 : 2013年1月31日

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