新源氏物語(中) (新潮文庫)

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5

(2007.04.21読了)(2002.04.04購入)
中巻は、「蓬生」「関屋」・・・「藤袴」「真木柱」です。
ひたすら待つ女、末摘花。庭に蓬や八重葎が繁り、家が荒れ果てても光源氏の訪問をずっと待っている。
明石から、都に戻った光源氏は、多忙であったが、久しぶりに花散里のところに行こうとして、途中で、末摘花の屋敷を通りかかり、まだいるとは思わず、念のために、手足として動いてくれる惟光に尋ねさせた。
源氏は、末摘花がずっと待っていてくれたことに感激し、荒れた屋敷を修理させた。
後に、新築なった、東の院に迎えられた。
(末摘花と花散里は、なかなか区別がつかず困っております。)
「絵合」という巻は、源氏が六条御息所の娘、斎宮の女御の後見人になり入内させたら、先に入内していた権中納言(源氏のライバル)の娘、弘徽殿の女御と帝をめぐって競い合うことになります。帝は、絵が好きなそうで、絵を描くのが上手な斎宮の女御の下へ良く行くようになります。対抗上、権中納言は、絵の名人を呼び寄せ絵巻物を描かせ、弘徽殿の女御に持たせ、帝の気を引かせる。
結局、源氏の持っている絵と、権中納言の持っている絵を帝の前で競い合わせることになった。
(男と女の話だけでなく時々このような絢爛豪華な平安絵巻が繰り広げられる。)
紫の君との間に子供のない源氏は、明石の君が生んだちい姫を紫の君に引き取らせ、手元で育てる。
源氏と葵の上の間に生まれた夕霧の君は、元服し、殿上人になるが、源氏の方針で、大学寮で、学問に打ち込ませる。
夕霧は、権中納言(今は内大臣)の娘、雲井雁と一緒に大宮の下で育てられ、お互いに惹かれているのだが引き離されてしまう。
源氏は、夕顔と権中納言との間に生まれた玉蔓が都に戻っていることを聞き、手元に引き取る。玉蔓は、結婚適齢期を過ぎているので、求婚者が後を絶たない。
夕顔への思いを玉蔓で満たしたい気も大いにあったが、入内させることにする。入内前に、実の父に知らせ、裳着の式の、腰結の役目を依頼する。
玉蔓の夫には、強引な鬚黒の大将が内大臣の許可を得て、収まる。
鬚黒の大将には、既に妻がいるのだけれど、ものすごいヒステリーで、発作の末、実家に戻ってしまう。
夕霧のライバル、柏木も登場して、物語の中心は、源氏と権中納言から、次の世代へと移ってゆく。

☆田辺聖子の本(既読)
「甘い関係」田辺聖子著、文芸春秋、1975..
「絵草紙源氏物語」田辺聖子著・岡田嘉夫絵、角川文庫、1984.01.10
「新源氏物語」(上)、田辺聖子著、新潮文庫1984.05.25
「むかし・あけぼの」(上)、田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
「むかし・あけぼの」(下)、田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
「竹取物語・伊勢物語」田辺聖子著、集英社文庫、1987.07.25
「おちくぼ姫」田辺聖子著、角川文庫、1990.05.25
(2007年4月30日・記)
☆関連図書(既読)
「源氏物語愛の渇き」大塚ひかり著、KKベストセラーズ、1994.02.05

内容紹介(amazon)
平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で「現代」のよみものとして、甦らせた大ロマン長編。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 源氏物語とその周辺
感想投稿日 : 2007年6月17日
読了日 : 2007年4月21日
本棚登録日 : 2007年4月21日

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