スペイン子連れ留学 (新潮文庫 草 336-1)

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(2007.12.10読了)(2002.02.19購入)
「主人を日本に残し、子供三人(長女・美奈7歳、次女・玲奈4歳、三女・麻由2歳)を連れて、一年間マドリード大学に留学する」体験記です。
著者は、学生時代に、カナダ・アメリカ・スペインへの留学経験があります。その中でも、スペインの印象は強烈で、どうしても、今一度スペインで身を入れて勉強してみたかったということです。
スペイン子連れ留学の希望を旦那に告げたところ、
「経済的な問題が解決して、周囲の理解さえあれば、主婦だって母親だって留学は可能だよなあ。だけど小さい子供を三人連れて留学するなんて、誰も思いつかないよ。お前サンの発想は自由でいいなあ。やれるところまで、やってみろよ」(13頁)
という、返事だった。
安い飛行機便を調べ、マドリードでの生活費(アパート代、食費、お手伝いさん)を調べたら経済的なことは、見通しがつき、周囲(旦那の父母、自分の父母)の同意も無理やり取り付けて、行くことにする。お手伝いさんについては、スペインで頼むつもりが、大学を休学して、一緒について行ってくれる女学生が見つかり連れてゆくことにした。
(なんともすごい人です。一年大学を休学して一緒に行こう、と頼めるとは!)
スペインに着いたら、子供三人を受け入れてくれる学校もあり、生活費も安くて、順調にスタートできた。

●闘牛(56頁)
スペインで定刻に始まるのは闘牛だけ、とよく言われる。
スペインの小学校で男の子に、将来何になりたいか質問すると、半数は神父様に、半数はマタドール(闘牛士)になりたい、と答えるという。
●遊ぶ子供(80頁)
日本では、夕方小学校の、特に高学年の子供たちが外で遊んでいるのを余り見かけないが、ここでは六時ごろ学校から帰ってメリエンダ(おやつ)が済むと、夕食の九時ごろまで皆、外でよく遊ぶ。
●子育て(93頁)
子供をたった一人生み育てるのさえ大変なことなのに、三人も四人も育てていると、母親は子供に人生のイイところを、すっかり持っていかれてしまう。やっと子供の手が離れて、もとやっていたことを始めようとしても、感受性も能力も低下していて、競争に打ち勝つには、大変な努力、おそらく男性の三倍も四倍もの努力を要する。
(何事かをなせる人は、男でも女でもホンのわずかだと思うのですが。大部分の人は、無為に過ごしています。)
●姓(178頁)
スペインでは正式には父と母の姓を名乗る。
よく、結婚すると嬉しそうに、旧姓何々などと書いて便りをよこす人があるが、生まれて二十年以上も慣れ親しんだ姓を、結婚したからといってポイと捨てなければならないことに、私は昔から異議があるので、このスペインの制度はうらやましい。
(姓は、自分の名前ではなく、名の方が自分のための名前だと思うのですが。ですから、苗字だけの自己紹介は、余り意味を成さないように思ったりします。それはそうとして、僕も結婚で姓を変えましたが、変えることに余りこだわりはありませんでした。姓が変わっても自分は自分であることに何の変りはありません。)
●クリスマスプレゼント(200頁)
北欧が発祥の地であるとかのサンタ・クロースは、スペインまではやってこない。代わりに三人の王様が、東の国から一月五日の夜半にやってきて、子供たちに贈り物を届けることになっている。
●イスラム支配(233頁)
711年イスラム教徒が、アフリカからイベリア半島に攻め入ってきた。この攻撃の前に、イベリア半島のキリスト教徒たちは北へ北へと追いやられ、最後には、北部アストゥリアスとガリシア地方を残すまでになる。
(2008年8月4日・記)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: スペイン
感想投稿日 : 2010年3月6日
読了日 : 2007年12月10日
本棚登録日 : 2007年12月10日

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