集合住宅: 二〇世紀のユートピア (ちくま新書 1204)

著者 :
  • 筑摩書房 (2016年8月4日発売)
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本棚登録 : 72
感想 : 4
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面白さより違和感の方が大きかった。
20世紀前半の欧州の集合住宅を扱っているが、労働者向けの住宅供給事業の目的は、著書の言うように格差解消なんかではなく、公衆衛生の改善による国力増強である。ピケティなんぞ引き合いに出すあたり、過去に見たいものを見出すアナクロニズムで、ヴァイゼンホフ・ジードルンクや、カール・マルクス・ホフをまた作れば格差が解消されるわけでもない。
日本は軍艦島と同潤会ぐらいしか紹介が無いが、同潤会が一つも残っていないのをノスタルジックに嘆くより、そろそろ戦後のニュータウンの総括をして欲しい。まだ歴史家の手にはあまるのだろうか。
まあでも、いろいろ考えが浮かぶあたり、近代建築史は現代と地続きで楽しいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2016年9月1日
読了日 : 2016年9月1日
本棚登録日 : 2016年8月28日

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