面白さより違和感の方が大きかった。
20世紀前半の欧州の集合住宅を扱っているが、労働者向けの住宅供給事業の目的は、著書の言うように格差解消なんかではなく、公衆衛生の改善による国力増強である。ピケティなんぞ引き合いに出すあたり、過去に見たいものを見出すアナクロニズムで、ヴァイゼンホフ・ジードルンクや、カール・マルクス・ホフをまた作れば格差が解消されるわけでもない。
日本は軍艦島と同潤会ぐらいしか紹介が無いが、同潤会が一つも残っていないのをノスタルジックに嘆くより、そろそろ戦後のニュータウンの総括をして欲しい。まだ歴史家の手にはあまるのだろうか。
まあでも、いろいろ考えが浮かぶあたり、近代建築史は現代と地続きで楽しいな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2016年9月1日
- 読了日 : 2016年9月1日
- 本棚登録日 : 2016年8月28日
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