砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2009年2月22日発売)
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桜庭一樹さんの描く少女って、何でこんなに惹かれるのでしょうか。少女たちが魅力的で、だからこそ、とても苦しくなりました。

語り手山田なぎさと転校生海野藻屑は、二人とも、中学二年生の少女です。そして二人とも、“不幸”でした。山田なぎさの不幸は“海野藻屑とは比較にならないぐらい平凡でありきたりでよくある貧窮”ですが、二人には“一つの共通点”がありました。それは、“十三歳ではどこにも行けない”、“自分で運命を切り開く力は”(p136)ないことです。

“子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで”、“藻屑は砂糖菓子の弾丸を、”なぎさは“実弾を、心許ない、威力の少ない銃に詰めてぽこぽこ撃ち続けているけれど、まったくなんにも倒せそうにない”(p139)のです。

“生き残った子だけが、大人になる。(p188)”そんな当たり前のことを、思い知らされました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年7月9日
読了日 : 2017年7月9日
本棚登録日 : 2017年7月8日

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