nanaraの本棚

ミステリー要素がない分読み終わってすっきり爽快、というよりほっと胸が温かくなり少しだけ泣きたくなる、そんな素敵なお話でした。

出会いは確かに奇跡みたいなもので、それがこの人でよかったと思える出会いは運命の出会いだ。そんな奇跡を、私は日頃どれだけ見逃しているのかな、そんなことを思いました。

私が大好きな、伊坂ワールドでした。どこかおかしな登場人物と交錯する物語。最後の数頁のドキドキ感と、残り数行の爽快感。

私も、嫌なことがあったらバカンスのことを考えよう、と思う。

文章が読み易くて驚き。
村上春樹感、が薄いように思う。
珍しく、主人公に共感して一緒に旅したような…不思議な余韻。

10章の太陽の描写が印象的。

じわりじわりと逃げ場を失う様な、ゆっくり心臓を掴まれて苦しくなる様な、そんな気分になる。
読後感は決して良くはないのだけど、夢中で一気に読み終えたことを考えると、私はこういう小説が嫌いではないみたい。

彗星さんたち、が好き。
私の人生も、誰かが見ている…のだろうか。
だとしたら、ちゃんとする、ことがこの人生の目的になり得るのかもしれない。

色んな人生が少しずつ重なって、またそれぞれに動き始める。ジャイロスコープの動きのように、くるくる思いが巡り続けるような。
私の大好きな伊坂ワールドでした。

ホワイトステップ、が好き。
切ないから、温かい。