外国人による日本論の名著: ゴンチャロフからパンゲまで (中公新書 832)

制作 : 佐伯彰一  芳賀徹 
  • 中央公論新社 (1987年3月25日発売)
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本棚登録 : 109
感想 : 2
4

2013/10/11読了。
幕末から1980年代までに外国人によって書かれた日本に関する書物のうち、42冊を選んでコンパクトに紹介する本。以前に渡辺京二『逝きし世の面影』を読んだことがあるが、そこで引用されていた様々な著者の本も取り上げられていた。
『逝きし世』が膨大な文献のリミックスによりあくまで特定時点での日本の姿を浮き彫りにしようとしていたのに対して、本書は逆にそれら文献を書いた著者たちの姿の方に視線が向けられている。西欧だけでなく中国・韓国・フィリピンからエジプトに至るまで、実に広い範囲の文化圏の人々が含まれており、著者たちの列伝としても読める。
おおよそ時系列に沿って並べられているので、時代の移り変わりや日本論自体の深化の様子もよく分かる。幕末に日本の特殊性をそのまま特殊性として驚いたり心酔したり軽蔑したりする見聞録からスタートした日本論が、やがてその特殊性を普遍性の中に位置づけようとする学術的な思索として深まるに至る。日本は、すべての国がそうであるのと同様に、特殊であり、しかし特別ではないのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2013年10月12日
読了日 : 2013年10月12日
本棚登録日 : 2013年9月30日

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