殺してしまえば判らない

著者 :
  • KADOKAWA (2006年3月1日発売)
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本棚登録 : 86
感想 : 22
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 第24回横溝正史ミステリ大賞優秀賞とテレビ東京賞をW受賞してデヴューした作者による、受賞後第1作目。 読みやすさはあるものの、読み終えた後もなぜこのタイトルなのか、意味不明。「殺してしまえば判らない」ってどこに掛かるのかしら? 1年前の東伊豆の家での妻の死。確たる物証がなくて警察は自殺と判断。失意のうちに東京に戻るものの、やはりその結論には納得できない、妻の死の真相を究明しようと、東京の家を離れ、1年ぶりに再び東伊豆の家に戻ってきた主人公。そんな主人公が偶然知り合った奇妙な女装マニアの中年男・狐久保朝志はなんと名探偵だった! ストレートに1年前の妻の自殺の真相をあれこれ考察していくのかと思ったのに、主人公の周囲で明らかに妻の死とは無関係そうな犬の失踪やら自殺やら殺人事件やらが起こって、主人公のみならず私まで混乱状態に。 作者は一体この作品で何がやりたかったのか?妻の自殺の真相はどうしたの?読んでる最中に、そんな念がふつふつとこみ上げてくるんですよね。 回り道がちょっと多すぎ。あれこれ欲張って詰め込みすぎて、散漫な印象です。 二転三転する妻の死の真相もなあ(p.229まで読んで初めて、だからあの事件が!と気づいた鈍すぎの私/汗)。  一見すると「まさか!」のバカミスなんだけど、妙に説得力があるのが何とも(苦笑)。中途半端というかなんというか…すかっと爽やかな気分になれない。もやもやが残ります。 この作品での唯一の収穫(笑)は、女装マニアの名探偵狐久保朝志でしょうか。彼(?)を探偵役としてシリーズ化されるようなので、次回作が楽しみ。彼(?)自身の謎についても、明かされる時が来るのでしょうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2006年8月1日
読了日 : -
本棚登録日 : 2006年8月1日

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