学生時代、ですからもう10数年以上も前に
買った本だったと思います。
先日本棚の整理をしたら出てきて、
大切にとっておいたものらしくとても状態がいいのです。
表紙もとても凝っています。
吉野朔実さんのイラストが淡い色彩で入っていて、
型押し加工までしてある。綺麗な本。
買った当初のことを思い出しながら再読しました。
大学を卒業したものの就職もせず、
たまにバイトをしながら自宅で暮らす、
今で言うとニートになるのかしら、女の子のお話です。
親に甘えて一見のらりくらりと気ままな生活を送りながら、
その内面は子どもと大人の狭間くらいでゆらゆらと揺れている。
吉野さんは淡々とした描写のなかに、
その微妙な心情をじつに細やかに拾っていらっしゃいます。
自分のなかにもかつて確かにあった感情を
ほろ苦く思い出しながらまた、大人への階段があるとすれば
その踊り場あたりで足踏みをしながら
じっと大人を観察しているその眼差しにどきりともさせられて。
歳を経て読みかえしてもまた、違った味わいがある。佳作です。
そんな本だからこそ、大切にとっておいたのでしょうね。
当時の自分と握手するような気持ちで、
そっと本棚に戻しました。
また時間をおいて読み返すのも、おもしろいかもしれません。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2012年4月29日
- 読了日 : 2012年4月23日
- 本棚登録日 : 2012年4月23日
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