とりあえず、一作家一作品にしてみる。
naotaroさん
ロアルド・ダール Roald Dahl
早川書房 (1976年04月20日)
平松 洋子
新潮社 (2007年04月)
キャスリン ハリソン Kathryn Harrison
新潮社 (2004年06月)
オルハン パムク Orhan Pamuk
藤原書店 (2004年11月)
佐藤 多佳子
新潮社 (2000年05月)
佐藤多佳子はこれがいちばん面白い!二つ目の噺家三つ葉がひょんなことから「話し方教室」を開いて落語を教えることから始まる。テンポが良くて、出てくる登場人物もみんな憎めなくて魅力的だ。映画化もされたが、国分太一が以外にもハマり役で驚いた。
エリザベス ムーン Elizabeth Moon
早川書房 (2004年10月)
「光の速さが、秒速十八万六千マイルだとしたら、暗闇の速さはどのくらいなの?」<BR> ラストに向かっての盛り上がりではなく、その過程を楽しむという意味で秀作。自閉症の主人公ルウの世界観がとても好きだ。だからこそ「それにぼくはいつまでも彼女が好きです」...
村上 春樹
講談社 (2001年04月13日)
「あなたはすみれのことが好きだったんでしょう?―つまり、女の人として」「そういうのはおそらく、選びようのないことなんです」<BR>すみれのことをずるいと思うのに、同じくらい羨ましい。「どうしてみんなこれほどまでに孤独にならなくてはならないのだろう」と、...
ポール・オースター
新潮社 (2005年06月29日)
オースター作品は、どれもアメリカ臭い。そのオースターがラジオ番組を通して全米から物語を募って編集したのが本書だ。出会い、戦争、哀しい、怒り、笑い、愛情、さよなら、郷愁、等々。全て実話だという個人的体験を読み終えると、頭の中いっぱいに「アメリカ」を...
ジュンパ・ラヒリ 小川 高義
新潮社 (2004年07月31日)
「この男が名前をくれた―――名前をつけた男より」<BR> 特別な出来事は何も起こらない。主人公ゴーゴリはベンガル文化とアメリカ文化で揺れ続けながら少年から大人になっていく。ひとつひとつのエピソードが丁寧で、それが楽しい。時折挿入される母アシマの料理場面も...
アンリ・トロワイヤ 小笠原 豊樹
草思社 (2004年02月21日)
「未知の作家の文章を読んでいて、それがもちろん私などとは無関係に書かれたとわかっていても、不思議なことには、まさしく私に向けて書かれたとしか思えない場合がある」<BR> 今春に亡くなったH.Troyatの少年期の自伝的小説。「物語の誕生」と題して作者本人から...
イマキュレー・イリバギザ 堤江実
PHP研究所 (2006年10月06日)
「keep your hope, don't let it go」<BR> この一言を私はずっと忘れないに違いない。本書の出版に合わせて開かれたイマキュレー・イリバギザ氏の講演会はこう短く締められた。個人的な体験としての本書を読んで、胃が絞り取られるようだった。私が口にすると薄っぺ...
ヘンリー・ジェイムズ 蕗沢 忠枝
新潮社 (1962年07月)
暑い夏だったのでたまにはクラシカルなホラーを読んでみた。日本の恐怖小説のように肝が冷えるのではない。「嵐が丘」のようなゴシック様式の閉鎖された屋敷を舞台に、若い家庭教師の心理を追体験することですっと背筋が冷える瞬間がある。
荻原 浩
集英社 (2001年10月19日)
荻原浩はコメディー路線の方が絶対面白い!と私は思っている。ちゃらくて、でもなにこらと一生懸命なユニバーサル広告舎の面々が好きだ。次作の「なかよし小鳩組」以降のシリーズ続編も読みたかった。
筒井 康隆
角川書店 (2006年05月25日)
「じゃ、またわたしに、会いにきてくれる?」<BR> 筒井康隆は、中高生が一度は傾倒する作家のひとりだろう。 手元に残っているのは「時をかける少女」と「家族八景」だけだが、一時期夢中で筒井作品を読んだ。深町くんが未来に帰る科学室の場面は、読み返すと、初め...
ベルンハルト シュリンク Bernhard Schlink
新潮社 (2003年05月)
ふさがりかけた瘡蓋を引っ掻いてえぐるような生々しい感情の上に、しとしとと静かに春の雨が降り続いているような小説だった。<BR> 「あんたはとってもいい声をしてるじゃないの、ぼうや」<BR> ハンナとミヒャエルの間にあったものは愛よりも、もっと乾いてさらさ...
あさの あつこ
角川書店 (2003年12月)
野球にだけ、どこまでも真っ直ぐなおとこの子たちが眩しい。巧と豪だけでなく、ふたりを取り巻く同級生も先輩もそれぞれに一生懸命でがんばれがんばれと声を掛けたくなる。一気に読み通した後は、素敵な一年間を見せてくれてどうもありがとう、と言いたくなった。
松尾 スズキ
幻冬舎 (2006年10月)
演劇の世界には全く明るくないし、そもそも対談集もあまり好きではない。なので、どういうきっかけで手に取ったか失念したが、こういった世界に身を置くひとたちの何か「やってやるぜ!!」というぐるぐるとしたパワーには圧倒されるものがある。
奥田 英朗
文藝春秋 (2002年05月)
「空中ブランコ」に続く神経科医(?)伊良部のシリーズ2作目で「町長選挙」に続く。見回したらどこかにいそうな患者ばかりで、現代は病んでると思うが、それをすかっと笑い飛ばしているのがまた現代っぽい。<BR> 映画は松尾スズキが伊良部を演じていたが、小説版...
劇団ひとり
幻冬舎 (2006年01月)
最初はネタ本として考えていたというだけあって、随所に劇団ひとりのネタらしい場面があり思わず笑ってしまう。張られた伏線が取りこぼす所なく見事に回収されているのは流石。
山口 仲美
光文社 (2002年08月)
新書は割と読んだら読みっぱなしだが、これは手元に置いておきたい。他言語よりも格段に多いという日本語の擬音語・擬態語の歴史を分かり易く解説してくれている。今なら誰もが「こけこっこー」と認識している鶏の声は江戸時代には「とうてんこう」だったらしい。ち...
遠藤 周作
新潮社 (1981年10月)
「そしてあの人は沈黙していたのではなかった」<BR> ひょんなことから、私はこの本を2冊所持している。キチジローの卑劣さに吐き気がしつつ、だが彼が持っているものは万人に通底する弱さなのだ。神の沈黙と迫害がそれを浮き彫りにする。それを痛感した上でなお「強...
北村 薫
文藝春秋 (2003年01月)
北村薫の作品はどれもとっつき易く、読み易い。昭和初期の古き良き日本に時代設定された本書は現代物の多い北村作品では珍しいのかもしれない。表題作の「街の灯」で取り上げられているチャップリンの同名映画に対する解釈が面白かった。
五條 瑛
集英社 (1999年02月)
最近、五條瑛はエンターテインメント要素を追及し過ぎているのか、初期に比べて内容の質が落ちている気がするのは気のせいか。対北朝鮮を軸に描く現代の諜報戦はトム・クランシーやイアン・フレミンと比べると地味そのものだが、それを凌駕する魅力が本作にはある。...
穂村 弘
全日出版 (2003年07月)
「そらふかくきこえるよほらきこえるよわたし耳から凍りつきそう」<BR>歌人、穂村弘と東直子の連々歌集。短歌など滅多に読まないので、たった31文字にこれだけのドラマが詰め込められるものなのかと素直に驚いた。
梅津 時比古
東京書籍 (2002年01月01日)
「雑踏にまぎれこむと、ふと、あてもなく、人を探し求める気持ちになる」<BR>「何かの花が咲きこぼれるように、音楽のなかから感情が舞い落ちてくることがある」<BR>梅津時比古氏の文章は美文のお手本のようだ。毎日新聞に掲載された音楽コラムをまとめたもので、「...
レーモン クノー Raymond Queneau
朝日出版社 (1996年11月)
ほんの些細な偶然の出来事を99通りの文体で再構成する。「地下鉄のザジ」のレーモン・クノーによる言葉遊びの原著を日本語独自の面白みを出して訳しきった朝比奈氏に脱帽。装丁が凝りに凝っていて、眺めているだけでも楽しめる。
菅 浩江
早川書房 (2000年07月)
「こういうのが『綺麗』なの。この幸せな気分も一緒に覚えてね」<BR>理路整然と美を分析する孝弘と、感情で美を自然に感じる美和子。地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大な博物館惑星<アフロディーテ>を舞台に繰り広げられる物語は、最終的にこの夫婦の修復へと集約される。
川上 弘美
平凡社 (2001年06月)
「センセイ、どこにも行かないでくださいね」<BR>「ツキコさんは、ほんとうに、いい子ですね」<BR>川上弘美の描く人物たちは皆、問いかけへの返事が意図せずに間を挟んで返ってくる気がする。「センセイの鞄」では泣かなかったのに、‘お付き合い’をしている間の二人...
Antoine de Saint-Exupery
Harcourt Childrens Books (J) (2001年09月04日)
版権が切れたことで、新訳が続々出ているが、やはり内藤濯訳には適わない。「小さな王子さま」ではなく「星の王子さま」と訳したことに意義がある。よく大人の童話などと称されるが、やはり子供のうちに一度は読んで欲しい作品だ。大人には「夜間飛行」を薦めたい。
クラフト・エヴィング商會
平凡社 (2002年02月)
クラフト・エヴィングは凄い。もしかしたら在るかもしれない、居るかもしれないと、思わず想像を膨らませてしまうちょっぴり‘不思議’で‘非日常’なもの・ひとを創り出して本の中に閉じ込めてしまう。「時間管理人」も「月光密売人」も「バリトン・カフェ」も名前を聞く...
是枝 裕和
角川書店 (2006年06月03日)
「当たりめえだろ。夜中に寝込み襲ってんだぞ。しかも大勢でよってたかって隠居した爺さんひとり殺してんだ。卑怯にもほどがあるじゃねえか」<BR>「誰も知らない」の是枝監督の映画原作本。時代物エンターテインメントとしてごく普通に楽しめてしまうが、よくよく考...
小川 洋子
新潮社 (2003年08月28日)
数学は大嫌いだが、数学者の残す言葉が美しいのは何故だろう。その問いに少しだけ答えてくれる本だった。
パウロ・コエーリョ 山川 紘矢
角川書店 (1998年04月)
パウロ・コエーリョの経歴を聞くと、胡散臭さが拭い去れない。最近流行のスピリチュアルという言葉に私が拒否感を抱いているからだろうか。本書はサンチアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼記として道々が興味深い。サンチアゴ巡礼を視覚的に楽しみたいのなら映画「サ...
福田 みどり
中央公論新社 (2004年10月)
「もし、大阪中の人が、きみを攻めてきても僕はきみを守ってあげるからね」<BR>福田定一(司馬遼太郎)さんがこんなにロマンチックなひとだったなんて知らなかった。彼の死後、みどり夫人の綴る彼との思い出は、祖父母の昔話をぽつぽつと聞いている気分になる。引用は...
井上 ひさし
新潮社 (2001年01月)
「いっぷく、でっぷく、ちゃんちゃんちゃぶろく、ぬっぱりきりりん、ちゃんぽんげ」<BR>一度は読んで欲しい。宮沢りえと原田芳雄で映画化されていて、私は映画から入った。語り口は柔らかく、広島弁で綴られる戦後数年の当地。広島を知らない私がこの本を読んで泣く...
高村 光太郎
新潮社 (2003年11月)
「あなたはだんだんきれいになる」<BR>「私はあなたの愛に値しないと思ふけれど、あなたの愛は一切を無視して私をつつむ」<BR>運命の愛も、もしかしたら在るのかもしれない。
堀 辰雄
新潮社 (1951年01月)
「ええ、何だか帰りたくなっちゃったわ」<BR>「燃ゆる頬」と悩むが、「風立ちぬ」では「それらの夏の日々…」の冒頭からすっと堀辰雄の透明な世界に滑り込んでゆく気持ちになる。季節が進むにつれ透度を増す節子を、成瀬巳喜男に映画化して貰いたかった。
エーリッヒ ケストナー 桜井 誠
講談社 (2003年12月10日)
ケストナーが大好きだった。「点子ちゃんとアントン」も「ふたりのロッテ」も「エーミールと探偵たち」も。何故か「飛ぶ教室」だけ読み損ねて大人になってから読んだ。そのせいか、クリスマスを前に小さいながら様々な事情を抱えつつもきらきらする子供たちより、正...
よしもと ばなな
新潮社 (2004年11月25日)
「すごい勢いでこの世をぐんぐんまわしてきた人類の優しい力に――あたたかく包まれるのだった」<BR>よしもとばななは、もの凄く平易な言葉でありきたりな世界の根源的で大切な部分を語るのが上手い。あとがきで著者本人が明言しているように、この本は、沖縄という密...
夏目 漱石
集英社 (1992年12月15日)
「善は行いがたい、徳は施しにくい、節操は守り安からぬ、義の為に命を捨てるのは惜しい」<BR>夏目漱石が特別好きなわけではないが、「草枕」の無骨でかつかつとした文体は疲れた日に読むと何故か心地良い。「夢十夜」の第一夜と吉野朔美の表紙の組み合わせは見事。
恩田 陸
集英社 (2000年09月20日)
当たり外れの大きい恩田陸だが「麦の海に沈む果実」と、この「常野物語」それぞれの一連のシリーズは良い。常野は本作であれだけ大風呂敷を広げたのだから「エンドゲーム」で終わりと言わずに、書き続けて欲しかった。表題作は少々重いが、表題作を踏まえた上での巻...
加納 朋子
東京創元社 (2001年02月)
加納朋子のミステリは基本的に穏やかで優しい。日常生活の中でふ、と気を取られるものの見過ごしてしまうちょっとした「不思議」を鮮やかに解き明かしてくれる。小さな白黒写真に絵の具で彩色を施すように。駒子シリーズも捨てがたいが、本作が一番恋愛小説としても...
グレン サヴァン 雨沢 泰
新潮社 (1990年08月)
ジェームズ・スペイダーとスーザン・サランドン主演の映画から入ったが、原作小説も劣らず良い。27歳のエリート広告マンと41歳のハンバーガー店の売り子が臆病に、大胆に近寄ってゆくのがもどかしい。映画版の思わず拍手したくなってしまうようなラストも良いが、小説...
中島 らも
文藝春秋 (2004年07月)
何てめちゃくちゃなんだと思っていた中島らもが、とらちゃんと一緒に写っている写真の中ではまともに見えるから不思議だ。
高畑 京一郎 衣谷 遊
メディアワークス (1999年05月)
タイム・スリップではなく、タイム・リープ。ばらばらにされた一週間の時間軸が、主人公が前に飛び後ろに飛びしつつ、ひとつひとつパズルのように整然と埋められていく筋が、破綻なくよく練られている。下巻の一番最後まで読んだら、上巻の冒頭に戻らずにはいられない。
岡倉 覚三 村岡 博
岩波書店 (1961年01月)
「茶の宗匠たちは、人間は生来簡素を愛するものであると強調して、人情の美しさを示してくれた。彼らの教えによって茶は国民の生活の中にはいったのである」<BR>どういうきっかけで手に取ったか失念したが、この薄い本の中に大きな古き良き日本が詰まっている。
宮部 みゆき
文藝春秋 (2000年10月)
私にとって宮部みゆきは当たり外れの大きい作家だが、これは素直に面白く一挙に読めた。2・26事件を下敷きにしたSF作だが、主人公の孝史と蒲生家の女中ふきの関係は映画「ある日どこかで」を彷彿させた。
吉野 朔実
角川書店 (2004年05月)
「本の雑誌」に連載されていた漫画家、吉野朔美の読書エッセイ漫画。読んでいると次はこれを読もうかな、と読書指標にもなってくれる。前作「お父さんは時代小説が大好き」もあるが、こちらに収録されている巻頭の「オースターたち」が気に入って、私はポール・オース...
川端 香男里 東山 すみ
求龍堂 (2006年09月)
「東山さんの風景画は静寂と慈心と温潤のただよふなかに敬虔と浄福がこもる」<BR>東山魁夷の北欧を描いた作品が好きだ。あの、人が絶えた様な静謐の空間を、さすが文豪川端、見事に表現してくれた。ちなみに本書は川端康成と東山魁夷の書簡集である。
ヴィクトル・ユーゴー 豊島 与志雄
岩波書店 (1982年06月16日)
断頭台に送られる死刑囚の獄中から死刑当日までを綴ったユーゴー初期の短編。ロマンティシズムが鼻につく場面も多々あるが、革命期以後あまりにも人命が軽く扱われていた社会の欺瞞をついている部分もあるのだろう。
小野 不由美
講談社 (2001年01月17日)
「……時々、大人って理解を超えるわ」<BR>終盤で真君と頑丘に向かって言う珠晶が一番「大人」の理解を超えている。シリーズ中この恭国の供王誕生話が一番好き。恭に限らず十二国記の続きが読みたい。
高村 薫
講談社 (1999年02月08日)
「君は大陸の覇者になれ、ぼくは君についていく夢を見るから」<BR>高村薫の描く人物は、もの凄く硬質で冷たいのに、内には燃ゆる何かを秘めている。「リヴィエラを撃て」のシンクレアと迷うが、やはり李歐は別格だろう。女性が書いているからか何故なのか、何にせよ...
J. オースティン Jane Austen
新潮社 (1997年08月)
「Much as I respect them, I believe, I thought only of you」<BR>こんなに極上の恋愛小説はない。
三浦 しをん
「すごいわ。水の底の先生の村では、鳥のかわりに魚が空を泳ぐのね」<BR>直木賞を受賞したのでどれか読んでみようかと思って選んだ。題材自体は取り立てドラマチックではないが、透明感のある文章が読みやすい。本編の「水底の魚」よりも短編の「水に沈んだ私の村」...
夢枕 獏
文藝春秋 (1991年02月)
「ゆこう」「ゆこう」そういうことになった。<BR>晴明と博雅のこのやり取りが好きでシリーズを読み続けている。一文一文が短い上に改行が多いので、余白が多く損した気分にならないでもないが、そのひんやりとした軽やかさが逆に良いのだろう。
畠中 恵
新潮社 (2001年12月)
作者は元々漫画家だったそうで、話運びや設定的に、なるほど「百鬼夜行抄」の今市子あたりが漫画化しても面白いかもしれないと思わせる部分がある。病弱な若旦那を世話好きでおせっかいな妖たちが取り囲んでいるという非日常な設定なのに、それが日常と同化している...
カズオ イシグロ Kazuo Ishiguro
早川書房 (2006年03月)
カズオイシグロの面白さは内容ではなく文体にある。不安定な語り手により紡がれる現在と過去の記憶を行き来する閉鎖的な世界の中で、読み手はどこに視点が置かれているかが度々曖昧になる。語り手に引きずられ、いつの間にか過去に視点が移ったかと思えば、語り手の...
中条 省平
集英社 (2003年01月17日)
映画の始まりであるリュミエール兄弟からのフランス映画史をざざーっと述べている。ヌーヴェルヴァーグ以前に主に力点が置かれているので、フランス映画の入門編としては読みやすいかも。
安藤 忠雄
東京大学出版会 (2001年09月03日)
本書を読むきっかけとなった直島については第3講で触れられている。建築のことには全く明るくないが、常に攻めの姿勢で世界のコンペに挑み続ける氏の精神はまさに不撓不屈だ。
浅田 次郎
文藝春秋 (2003年09月)
「ゼッケン六番、エバーグリーン。勝つのはきっとあの馬だ。」<BR>浅田次郎の小説には「プリズンホテル」にしろ「蒼穹の昴」にしろ食傷気味になってしまうほどエンターテインメントの全要素が惜しげもなく詰め込まれている。この短編集は正直浅田作品の中では外れだ...
荻原 規子
徳間書店 (1996年08月)
「いっしょに武蔵へ行かないかといわなかった」<BR>「更級日記」を下敷きにした勾玉三部作最後の一作。「空色勾玉」も「白鳥異伝」も止まらずに読み通したが、「薄紅天女」には適わない。最近でこそ読み返すことが少なくなったが、やはり手に取れば初めて読んだ中学...
アガサ クリスティー Agatha Christie
早川書房 (2003年10月)
「人間なんてみんな、似たりよったりですからね」<BR>クリスティの生み出した名探偵は多々いるけれども、私はこの小さな村の出来事を普遍化することでひょいひょいと謎解きをしてしまう小さなおばあちゃんが一番好きだ。マープルシリーズにも長編はあるが、このシリ...
有栖川 有栖
角川書店 (2003年10月)
有栖川有栖は探偵役の火村助教授が気に入っているので、推理小説としては首を傾げたくなっても一通りこのシリーズは読んでいる。装丁とテーマが好みなので、この一冊を挙げておく。(シリーズパターンとして東野圭吾の「探偵ガリレオ」のシリーズに似ているかも)
林 完次
角川書店 (1999年12月)
「ひるもなお星見る人の眼にも似るさびしきつかれ早春のたび(宮沢賢治)」<BR>林氏の天文写真に天体に関する古今東西の言葉が添えられていて、それが宙への想像力を掻き立てる。著者があとがきで述べているがまさに「本のプラネタリウム」だ。
ポール ポプラウスキー Paul Poplawski
鷹書房弓プレス (2003年06月)
「ENCYCLOPEDIA」に相応しいオースティンに関する事柄を網羅した本。需要の少なさの所為かちょっとびっくりするくらい高いが、何はともあれ手元にこの本があることが大切なのだ。
安野 光雅
福音館書店 (1977年04月15日)
幼稚園の時には、「ウォーリーをさがせ」の方が面白かった。大人になって見返したら、ウォーリーよりずっと奥が深くて素敵な“絵本”だった。新しい本を読むたび、新しい逸話を知るたび、それまで気づかなかった新たな場面が浮かび上がってくる。
アルチュール ランボー Arthur Rimbaud
筑摩書房 (1996年03月)
「Elle est retrouvèe. Quoi? L'Eternitè C'est la mer allèe avec le soleil.」<BR>高校生のときに朝日新聞の日曜版で取り上げられていた「永遠」が強烈だった。一番有名な小林秀雄訳では「また見つかった 何が? 永遠が 海と溶け合う太陽...
寺山 修司
角川書店 (1992年03月)
「きみ、知ってるかい? 海の起源は、たった一しずくの女の子の涙だったんだ。――ぼくだけは知っているんだよ。」<BR>この独善的で限りなくロマンチックなのが寺山修司だ。
筑摩書房 (2006年01月)
安野光雅(と藤原正彦の対談)にクラフト・エヴィング商會の装丁なんて素敵すぎる。両者とも齢相応のかたくなさが目についてしまって、対談内容だけを取り上げてしまえば藤原氏が小川洋子と語った「世にも美しい数学入門」よりも劣るけれども、「美しい日本語」が矢継...
黒柳 徹子
講談社 (1997年07月02日)
とても狭い世界の小学生だった私にルワンダのことも、ボスニア・ヘルツェゴビナのことも教えてくれたのは徹子さんのテレビと本だった。小さい頃の記憶に朧気に残っているのからは想像もつかない優しくないインドを教えてくれたのも。 こんな素敵なひとがいるなんて...
中薗 英助
岩波書店 (1992年04月20日)
KGBって何?MI5とMI6って何が違うの?CIAって…などなどの質問に答えてくれる本。スパイ小説とハードボイルドを読むときの下地になってくれる。
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