学習する組織――システム思考で未来を創造する

  • 英治出版 (2011年6月22日発売)
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・ 実験室で新しいアイディアがうまくいくことがわかったとき、アイディアが「発明された」という。そのアイディアが、現実的なコストで本格的な規模の複製を行えたときに初めて「イノベーション」になる。
・ 学習する組織の核心にあるのは、認識の変容である。自分自身が世界から切り離されているとする見方から、つながっているとする見方へ、問題は「外側の」誰かか何かが引き起こすものだと考えることから、いかに私たち自身の行動が自分に直面する問題を生み出しているのかに目を向けることへの変容だ。
・ 典型的な「自分の役をうまくこなす」四季の考え方にかけているのは、あなたの発注量がほかの人の発注量と相互に作用する結果、あなたが「外的要因」ととらえている諸変数に影響を与えている。プレーヤーは自分が影響を与える範囲を定義し直さなければならない(つまり、業界をかえるアクションをする場合は、業界の中での位置づけから、どういった変数に影響できるのかを考える必要がある)
・ なぜ構造の説明が非常に重要かというと、それをもってしか、挙動パターンそのものを変えられるレベルで、挙動の根底にある原因に対処することができないからだ。構造が挙動を生み出す故に、根底にある構造を変えることで異なる挙動パターンを生み出すことができる。
・ 安易な出口はたいてい元の場所への入口に通ずる
・ 小さな変化が大きな結果を生み出す可能性がある、が、最もレバレッジの高いところは往々にして最もわかりにくい
・ 複雑性 → 種類/ダイナミズム(原因と結果がとらえにくく、相互作用が長期に及ぼす効果が明らかではない)
・ 線形の因果関係の連なりよりも、相互関係に目を向ける
・ スナップショットよりも、変化のプロセスに目を向ける
・ すべての行動は自然の性質のみによって形作られる。自己は利己主義に惑わされ、「私が行為者である」と考える
・ バランス型プロセスは、すべての関係者が変化を望んでいる時でさえ、現状を維持する
・ ある変数が別の変数に影響を及ぼすのに時間がかかる場合、送れは、システム言語の三つ目の基本構成要素となる
・ 各状況でのレバレッジは自己強化型ループではなく、バランス型ループの中にある。システムの挙動をかえるためには、制約要因を特定してそれを変えなければならない。
・ より強く押すことはレバレッジではない。それは抵抗をさらに強めるだけだ。たいていは、制約条件を弱める、または取り除くことが求められる。
・ 問題のすりかわり:対症療法的な介入をすることで、根本的な問題への副作用が生まれる場合も多い
・ 根本的な対応を強めるには、長期的な方向性と共有ビジョンの意識が必要である。
・ 従来の階層制組織は、人間の高次のニーズや自尊心、自己実現をもたらすようにはできていない。組織が、全従業員のために、こうしたニーズに取り組むようになって初めてマネジメントの混乱は終わるだろう
・ ビジョンと目的は違う。目的は方角のようなもの。全体的な進行方向だ。ビジョンは具体的な目的地、望ましい未来像である。目的は抽象的なもので、ビジョンは具体的なものだ。「人類の宇宙探索の能力を進歩させる」は目的、「1960年代末までに人類を月面に立たせる」はビジョンである
・ ビジョンは内発的なものであり相対的なものではない。他人と比べて相対的にどうにかなれるからではなく、その内在する価値故に望むものである。(絶対的だから価値がある)暫定的なものならば、相対的ビジョンが適している場合もあるが、相対的ビジョンで偉業を成し遂げられるものは滅多にない。
・ 失敗とは、その最大限のメリットがまだ強みに転じていない出来事のことである
・ 「完璧に問題のない人生ならば、真っ先になにを求めますか?」−「変化です。何か新しいものを創造したい」
・ どんなに盲目的で偏見に満ちた人間であっても、人生には常に真実を見るという選択肢がある
・ アインシュタインのいう、「つながりを増やしていく体験」は、自己マスタリーの最もとらえがたい側面のひとつであり、システム思考から最も直接的に生じるものだ。アインシュタインのいう「思いやりの輪を広げること」もそうである
・ 組織は本質的に「高圧的なシステム」である
・ 意思決定の中枢にいる人たちのメンタル・イメージ、つまり彼らが現実をどうとらえているかを動かさない限り、シナリオは何の効果もない
・ 主張と探求を融合させて、協力的な学習を促す
・ 「真実に忠実であり」「私は物事をこういう風に見ている」とメンタル・モデルに目を向けることで会話の質が変わる
・ 守勢の目標(手に入れたものを守り、ナンバーワンの地位を失うまい)が何か新しいものを生み出す創造性や興奮を呼び起こすことは滅多にない。自分自身の中にある内発的な「卓越」の基準の方に意を注いでいる
・ 来年の戦略の出発点は、ほぼ例外なく今年の戦略にある。改善はわずかだ。本当の好機がほかにあったとしても、会社は自分たちのよく知っている市場セグメントや事業領域に固執するものだ
・ ビジョンに対する7段階
コミットメント:心から望み、どんな法も生み出す
参画:心から望み、法の精神内でできることをする
心からの追従:ビジョンのメリットを理解。期待されていることとそれ以上をする
形だけの追従:ビジョンのメリットを理解。期待されていることだけはする
嫌々ながらの追従:ビジョンのメリットを理解していないが義務感でやる
不追従:ビジョンのメリットを理解せずやらない
無関心:「もうかえっていい?」
・ 参画とは、ビジョンに対する本物の熱意、そして進んで他社に自分自身の選択をさせることから生じる自然なプロセスである
・ 大半の組織はシステム思考ではなく、直線的思考に支配されている。直線的思考とは、自分の問題は「ほかのどこか」や自分とは無関係の「システム」が生み出したと考えるコトが原因で。出来事に対応しながらやっていき、変化を生み出さない、
・ 既存の方針や行動がいかに今の現実を創り出しているかを組織にいる人々が学び始めれば、ビジョンが育ちやすい土壌ができてくる。新しい自信の源泉が生まれるのだ。
・ ダイアログとディスカッションのバランスを取る。ディスカッションでは、様々な意見が提示され弁護されるので、全体状況の分析として役立つ。ダイアログでも、様々な意見が提示されるが、それは新しい見方を発見するための手段としてのことだ。ダイアログは意見の分かれるものであり、合意を目指すのではなく、複雑な問題をより深く理解することを目指す。
・ 前提を保留し、検証する
・ 私たちは、世界を単純で明白な言葉でとらえているので、単純で明白な解決策を信奉するようになる。だから、単純な応急処置におわれてしまう
・ 利益はすべての企業に取っての業績の要件ではあるが、目的ではない。
・ 長寿命の企業は自らを利益を追求する機関としてよりも、人のコミュニティとして考える傾向がある
・ 知的な行動は、ネットワークのメンバーの誰もが、ほかのメンバーをネットワークの正当な参加者として受け入れる社会システムにおいて生み出される
・ 知識時代の着眼点:①部分から全体へ ②分類から統合へ ③個人から相互作用へ ④観察者を外におくシステムから観察者をうちに含むシステムへ
・ 授業のイメージは、「間違いを避ける」とか「正しい答えを出すことが重要」という強い感情を呼び起こす。これに対し、真の学習プロセスは、新しいことを試すことやたくさんの間違いをすることにより定義される
・ 二割の人を同じ方向に動かすことができれば、ティッピングポイントに到達している
・ インターネットでは退場のコストがかかりません。お互いに飽きてきたり、他人がいっていることに興味がなくなったりすれば、簡単に接続をたつことができます。その結果もたらされるものは、すべての人がほとんど同調し合いコミュニティです。真のコミュニティは、互いに離れることができない場合にのみ起こりえる
・ 学習する組織において、リーダーは設計者であり、教師であり、執事である
・ サーバントリーダーかどうかを確かめる最適の方法は「奉仕されている人々が人間として成長しているか?」「奉仕されている人々は、より健康に、より賢く、より自由に、より自律的になり、また、自らも奉仕者になる可能性が高くなっているだろうか?」である
・ 私たち人間が地球規模のシステムの一部にすぎないということを見つめ、それに応じて役割を果たすことが先決です。
・ 私たちはあまり物事を知りません。だからたくさんの疑問を持つことが簡単にできるのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 【ビジネス】組織変革
感想投稿日 : 2016年9月3日
読了日 : 2016年9月3日
本棚登録日 : 2016年9月3日

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