初めて福永武彦を読んだ。
この時代ならではの奥ゆかしい日本の家族が描かれていて美しい。
中年の男、その長女と次女、そして病気で寝込んでいる妻の視点で章が展開される。
中年の男が終盤の長女に対して言う台詞が好き。
「私たちはそういうふうに躾られてきたのだ。それに私は自分の感情を殺すことも覚えていた。それでもどうにもならない時がある。心の中が溢れて来て抑えることの出来ない時がある。私にしたってお前が可愛くないわけではなかった。そういう時に私はこっそりお前のそばへ行って、小さな声でこの子守唄を歌ったものだ」【332頁】
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ハ行
- 感想投稿日 : 2010年3月16日
- 読了日 : 2010年3月16日
- 本棚登録日 : 2010年3月16日
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