儚い羊たちの祝宴

著者 :
  • 新潮社 (2008年11月1日発売)
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本棚登録 : 2669
感想 : 483
5

5話からなる短編集。
やっぱりおもしろかった(^^)
格式ある旧家名家から成り上りまで、上流階級と呼ばれる人々とそこで使われる者とが主となる黒い話。
ミステリー…ほとんどホラー。
お嬢様たちが集う大学サークル「バベルの会」が5つの物語を1つとする。
最後の1行で「ガツン!」と見事に落としてくれます。

1話1話の主人公たちの忠実で慇懃で残酷な冷淡さがジワジワくる。
誰にも黒い部分はあると思うのだけど、これほどに温もりのない感情。自分のことだけを徹底的に優先した感情。
否…〝感情〟という感情がスッポリと抜け落ちていると言ったほうがしっくり来るかも。

物語の中に、本がたくさん出てくるのですが、どれひとつとして読んだことがない。中身を知らない…それが、ちょっと悔しい。

・眠りを題材にした本を愛するお嬢様は、合宿へ行くことをとても楽しみに…。
・飛鶏館の管理人を任された私は、ここでお客様をお迎えすることを楽しみに…。
・貧しい暮らしの中で母が亡くなり、私は父を頼りお屋敷へ…義兄は、妾腹の子である私を快く迎え入れてくれました。
・格式ある家で、厳しい祖母に逆らえぬ、母、私、養子の父…十五歳の誕生日に祖父から与えられた贈り物は同い年の五十鈴だった。
・成り上がりで見栄っぱりの父が招き入れた厨娘は、晩餐専用の料理人だった。

主人公のみならず、回りの登場人物も含めて、常軌を逸する人たちが繰り広げるパラレルワールド。
今年の16冊目
2016.05.10

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 米澤 穂信
感想投稿日 : 2016年5月12日
読了日 : 2016年5月12日
本棚登録日 : 2016年5月12日

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