まさ夢いちじく (The Best 村上春樹の翻訳絵本集)

  • 河出書房新社 (1994年9月22日発売)
3.83
  • (22)
  • (37)
  • (35)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 293
感想 : 50
5

オールズバーグの絵の美しさにつられて読むと、幻想的でくらっとしてくる。
対象を大きく描いて、時に上から、時に下からとアングルも自在で、精密で丹念なパステル画に見入っているうちに、一気にその世界に入り込んでしまう。

キャラクターの描き分けも素晴らしく、主役のアクの強さと愛犬(?)の哀れさが際立っている。
でもストーリーは子供には怖い。痛快と思うのは私が大人だからか。
読み手の期待どおりのラストに持って行ってくれるが、小さな読み手には結末の「もやっと感」が後味が悪いかもしれない。これを「してやったり!」と思えるにはある程度の年齢でないと。
約9分。高学年以上に。

主人公の潔癖な歯医者さんは、最初は憎たらしかったが読み返すと案外味がある。
その主人公にちっとも愛情をかけられない飼い犬は、何やら可哀想に描かれているが、これはちょっとしたフェイント。
下手に同情などせず、安心してお読みあれ。
ラストで、ふぅん・・・ふっふっふと、思わず微苦笑する。
ブラックな味わいがちょっと癖になりそう。

夢をまさ夢にするといういちじく。
あなただったら食べますか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: オールズバーグ
感想投稿日 : 2017年4月17日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年4月17日

みんなの感想をみる

コメント 2件

mkt99さんのコメント
2017/04/17

nejidonさん、こんにちわ!(^o^)/

私は悪夢を見る比率が高いような気がしますので、普通のいちじくでいいです。(笑)

nejidonさんのコメント
2017/04/18

mkt99さん、こんばんは(^^♪
コメントありがとうございます!
あらま、悪夢を見る確率が高いのですか?
私は、起きたとたんに何の夢を見ていたか全部忘れてしまうのです。
「ああ、悔しい、すごく楽しかったはずなのに」と、毎朝反省してます(笑)。
まさ夢になると知ったら、意地でも良い夢を見てやろうと頑張った結果、
やはり悪夢になってしまうような、そんな気もしますね。
ぜひ極上のワインを堪能している夢を見てくださいませ。

ツイートする