読んでいてとても楽しい、魅力的な本。
イラストレーターでもある著者が若い女性のせいか、どちらかと言うと情感豊かな言葉に偏った気もするが、それでも楽しい。
翻訳できない言葉の奥に、その国の歴史や文化が垣間見えてくるし、その言葉を使う人々の暮らしに想像を巡らすという楽しみもある。
その上、手描きの文字とイラストが暖色系で可愛らしい。
イヌイットの棲み処である「イグルー」も、この著者の手にかかると妙に可愛い。
日本語からは【木漏れ日】【ボケっと】【侘び寂び】【積読】がチョイスされ、
その説明には舌を巻いた。
いやぁ、侘び寂びをこんな風に解釈したことがなかったな。
【生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと】
ですと。・・しかも、読むとそんな気になってくるし・(笑)
ブラジルには【愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ】を名付ける【カフネ】という名詞があるという。なんと官能的な!ああ、クラクラしてくる。
アルコール好きな国民が目に浮かぶ、【ウィスキーを一口飲む前に、上唇に感じる妙なムズムズする感じ】を表す【スグリーブ】というゲール語もあるのが笑える。
同じく笑ったものは、マレー語の【ピサンサブラ】。
これは、バナナを食べる時の所要時間であるらしい。大体2分だと言う。
アラビア語の【グルファ】は【片方の手のひらに乗せられるだけの水の量】だと言うから、灼熱の地でその貴重な水で喉を潤す人が見えてきそうだ。
傍らに置いてつれづれにページを開き、開いたところを読んで何度も楽しめる。
イラストの日本語の文字に誤字が多いのが玉にキズ。
言葉を扱った本なのだから、もう少し丁寧な編集が欲しかった。。
それでも素敵な一冊だから、友人の誕生日プレゼントにしようかと考え中だ。
最初と最後に寄せられた著者からのメッセージも、慎ましくてとても素敵。
- 感想投稿日 : 2017年5月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年5月14日
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