「傷を、だいじに育んでいくことじゃ。そこからしか自分というものは生まれはせんぞ」
少女は冒険に出なくてはいけない。鎧を捨てる覚悟を試されなくてはいけない。誰かのためじゃなく、自分が何かを知らなくてはならない。
すべての人がつながっていく「裏庭」のファンタジーな世界。時に残酷な出来事が起こる寓話の世界を進んでいく女の子「テルミィ」と冒険するうちに、幼いころの、物語にのめり込んでいた自分と出会ったような感覚が芽生えてくる。
初めて読んだのに懐かしい感覚。
「傷」を重要なモチーフにして進む裏庭の冒険や、裏庭の登場人物にそれぞれ役目があって、役目があるからこそ孤独でなくちゃいけない描写が心に刺さった。
誰もが最高の形で愛されて育つわけじゃない。それを乗り越えるのが冒険の物語なんだな、と、救われる。
非常に素晴らしい小説でした!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年12月11日
- 読了日 : 2016年12月11日
- 本棚登録日 : 2016年12月11日
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