さんざんためらった挙げ句、今頃購入。気になるならはやく読めばいいものを、売れてる本は読む気にならないという、自称「本好き」によくある曲がった臍が邪魔をしてたのです。「第2図書係補佐」「芸人と俳人」はおもしろく読み、特に「芸人と俳人」に収録されていた短篇小説風のエッセイがとても良かったので、結構期待して読み始めたのだった。
で、感想は…、うーん、どう言ったらいいのかなあ。うまくまとまったものではないけれど、不思議な魅力がある、とでも言おうか。
自身を投影した徳永については、そのヒリヒリした孤独感が立ちのぼるような描写で、こういうのが著者の持ち味なのだと思う。孤独ではあるけれど、荒んだ感じがしないところがいい。一方、徳永が師匠とする神谷は、どうもうまく像を結ばない。わかりやすい人物像ではないことが、一つの吸引力になっているのかもしれないが、それにしては弱いのでは。
ラストには疑問や批判の声が多いらしいが、確かに違和感たっぷり。でもそれがかえって妙に後を引くような読後感を生んでいるとも思う。ありがちな話に落とし込まなかったこの根性は「買い」だと思った。
小説自体にはあまり関係ないかもしれないが(いや、あるかも)、文中で出てくる「お笑いネタ」(だと思うけど…)や、徳永と神谷のやり取りが、ほとんどまったく面白くも可笑しくもない。それどころか、チクチク痛くさえある。これって、私がもうずいぶん前から旬の芸人さんの面白さがわからなくなってるからなのか、それとも、そういう風に書かれているからなのか、うーん、どっちだろ?
- 感想投稿日 : 2015年9月9日
- 読了日 : 2015年9月9日
- 本棚登録日 : 2015年9月9日
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