さて、下巻。
別件で逮捕した人物を犯人と睨み立件に執念を燃やす最上に対し、その強引な捜査に疑問を持ち始め、職を辞して真相に迫ろうとする沖野。
沖野が最上を追い詰める道筋を語る物語は、マスコミや“人権派”の弁護士などが入り乱れ、その進展は大方の予想の通り。
最上が本当に自分を守ろうとすれば、『小細工せずに受けて立つべきだろうという思い』を捨て、沖野を適当な口実で捕まえてしまえば、『自分が属していた組織がよもやそんな汚い真似をするとは』夢にも思っていない沖野は簡単に躓いていたものと思われ、ハナからその線には立ち入らない前提での攻防なので、まあ予想の通りにしか進まないわな。
それでも展開の早さで面白く読めたは読めた。
終章、腹を決めて事を進めた最上のほうがいい人風に描かれたり、自分が救った人物の姿に接し途方に暮れる沖野の若さが際立ったり、法を執行することの難しさは勿論だが寧ろ正論だけでは生きてはいけぬ世の中の難しさのほうを思わされたりもし、何とはなしに焦点が暈けた感じも…。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2017年読んだ本
- 感想投稿日 : 2017年5月21日
- 読了日 : 2017年5月19日
- 本棚登録日 : 2017年5月21日
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