イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント

  • NTT出版 (2012年11月23日発売)
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感想 : 12
3

新しくイノベーションチームをつくるにあたって、
①チーム作り
②素早い学習
について、まとめられた1冊。私の求めている短期の社外のプロジェクトとは若干外れていたことと、そもそもの文章の読みにくさから★3にしました。

【イノベーションは可能か?】
しばらく前に、ある経験豊富なエグゼクティブがさりげなく言った。「既存の企業組織にイノベーションなんて、そもそも可能だろうか?」

継続事業は反復的だが、イノベーションは反復できないので、イノベーション・リーダーは組織編成について全く違う考え方をしなくてはならない。
継続事業は予測可能だが、イノベーションは不確実なので、イノベーション・リーダーはプランニングについて全く違う考え方をしなくてはならない。

【チーム】
共通スタッフ+専任チームの共同事業により、イニシアチブを実行する。
専任チームを結成するときのアドバイスは、
1.必要なスキルを明確にする
2.可能な限り最高の人材を採用する
3.専任チームの組織モデルを仕事の内容に合致させる

既存企業内部のイノベーションに向けては、次の2つの条件が加えたい。
1.企業内部で新しい部門を創設して育てた経験者が少なくとも数名、専任チームにいると役立つ。
2.専任チームのトップ・リーダーは政治的な手腕があって、共同事業を構築するのに長けていなくてはならない。

【既存事業に飲み込まれてしまうワナ】
1.インサイダー重視
プライド:社内リーダーで、自信があれば、社内の人間でイノベーションは賄えると過信している。
なじみ:スキルよりも自分の知っている人を思い浮かべてしまう。
気楽さ:既存の権力構造が揺さぶられぬよう、内部で片づけたい。
便利さ:外部からの採用がなく、手っ取り早い。
報酬規定:社内で確立している給与体系が当てはまらない場合、外部の人材採用は難しい。
社内の人間にチャンスを与えたい:社員が魅力を感じている中で、外部の人間を雇うと、社内の人間のモチベーションが失われる可能性がある。

組織の記憶もリスクになる。過去に学んだ習慣やバイアス、行動・思考パターンを引きずってしまうことで、継続事業の小さい版になってしまうこともある。

そのため、「社風を変えたければ、人を変えることだ。」

2.役割・責任について、これまでの規定を用いる
これまで通りにならぬためには、
①なじみのない肩書きを使う
②新たに職務内容を決める・書かせる
③専任チーム用のスペースを(安くていいので)確保する

3.継続事業に支配される
専任チームの位置を組織図の中で明確にする、権限をはっきり定めないと、何か意見の対立が生じたときに継続事業のが権力が強くなることが多い。

4.既存のKPIで業績評価をする
専任チームの目的に合致した、数値目標を立てなければ、モチベーションは維持されない。

5.異なる社風の創造に失敗する
経路依存性、というか、これまでの社史・ストーリーに意思決定は大きく影響を受ける。

6.できあがったプロセスを使う
効率性を重視して、出来合いのプロセスを使うと、継続事業と変わらなくなる。

7.同質化圧力に屈する
コスト削減の一手に、あらゆるサポート機能の標準化がある。あらゆる手段で効率を最大化しようとするサポート機能にたいして、専任チームは例外扱いをしてもらえる素地を作らなければならない。

→要は0ベースで取り組める土台をつくらなければ、継続事業のコピーになってしまうよという教え。

【パートナーシップの課題】
①希少なリソースをめぐる継続事業とイノベーション事業の争い
・共有スタッフに充分な支払いをすること
・配分されたリソースに支払いすること
・業績評価を継続事業と切り離すこと

②共有スタッフの関心の奪い合い
・上層部の理解を得る
・資産(ステークホルダーとの関係性、ヒトモノカネのリソース)を弱体化させないよう努力する
・カニバリゼーションで継続事業の社員が身の危険を感じるようなことはしない
・共通スタッフに具体的な目標や追加報酬・ボーナスを与える

③共通スタッフと専任チームの溝
・専任チームのがスキルが高いと感じさせ、共通スタッフに落ち目を感じさせない
・CEOや上層部があまりにイノベーションに加担しすぎることはしない
・業績評価は継続事業とイノベーション事業で分けて考える
・役割、責任、文化、決定権を明確する
・互いのチームが共通でもてる価値観を全力で強化する

【規律ある実験】
イノベーション・リーダーの重要な管理責任の1つが、学習することである。学習は早ければ早い方がよい。

・料理でもテレビゲームでもまずはやってみて、試行錯誤のうちに腕があがるものだ。そんなに整ったプロセスで実験はしてはいけない。
・ビジネスの世界では、迅速に明確で完全な結果がでる実験は、わずかにすぎない。
・条件が理想的とは行かない場合、人間が直観によってのみ学習する能力は驚くほど低下する。原因と結果を結び付けられず、バイアスがかかってしまうのだ。
・不確実性が増すほどプランニングの価値は減少するかと思いきや、実験結果を予測する目的はそこにはない。予測の価値は正確性にあるのではなく、その後の結果の解釈の目安になれるかどうかである。学習のステップとして欠かせないのは、予測と結果の食い違いを分析することだ。
・これから行う実験に複数の未知数がある場合には、どの未知数が最も重要かを事前に検討しておくべきだ。どの想定が間違っていたら、イニシアチブ全体を即座に停止すべきか?評価にはどんな数値指標を使えばいいか?

【学習の責任】
・真剣にプランを作成しているか
計画を会待ち立てても意味がないと軽視する傾向にあるが、イノベーションの土台になる仮説をきちんと立て直しするプロセスがなければ、学習はまず無理。
・土台となる明確な仮説があるか
何が分かっていて、何が分かっていないのか。これまでの結果から因果関係マップが描けているか。
・土台となる仮説をチーム全員が理解しているか
学習はチームプレイ。自分の言葉で仮説を語らせることで、チームへの浸透度が分かる。
・仮説は修正すべきだという証拠があったときのみ、修正しているか
自分の都合で仮説を修正していないか(易きに流れていないか)。下方修正するときには、必ず投資に対するリターンを再評価する必要がある。
・チーム全員が最も重要な未知数を認識しているか
最も重要な未知数を最も低コストでつきとめる方法はないかを慎重に検討したい。
・リーダーもチームも新しい情報に素早く反応しているか
学習スピードは計画を見直すスピードと結びついている。
・リーダーは学習意欲をもち、チームにももたせているか
簡単に継続事業の心理に入り込んでしまうかもしれないリスクがあることを心得ておく。
・リーダーは真実と向き合っているか
リーダーが全身全霊を傾けても真実が見えないことがある。結果のデータについてオープンに話し合い続けなければならない。
・予測の精度が上昇しているか
明らかに予測が改善されていっているか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年10月16日
読了日 : 2015年10月16日
本棚登録日 : 2015年10月14日

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