何者

著者 :
  • 新潮社 (2012年11月30日発売)
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本棚登録 : 120
感想 : 19
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大学生の話かぁ、ツイッターも出てくるのかぁ、とか思っていたんだけど、全然うざったいとか感じずに、すごくおもしろく読めて、よかった! 文章が自然で嫌味がなくて、それでいて、ほんのちょっとした描写とかに繊細さとかセンスを感じるというか、結局、わたしはこの著者の文章が好きなんだなと思う。ツイッターの形式を使った構成とか、ラストのサプライズもうまいなあと思った。

わたしにとっては大学時代なんてはるかかなた遠い遠い(しつこい)昔なのに、自分の将来を考えることとか生き方とか自己顕示欲みたいなこととかいろいろ考えさせられた。
でも、登場人物のだれがいいとか悪いとかじゃなく、それぞれのやり方をそれぞれすごく理解できて共感できる。
(そして、正直にいえば、耳が痛い、というところかも。結局、ずっと自分から動かずに何者にもなれず、だれかのために腹をくくってなにかするとかいうこともなく年をとってきたわたしは、この登場人物たちにとっていちばん恐れる将来なのかもなあーとか思ったりして。こういう本を大学時代に読めたら人生違ったかも?)

あと、読み終わってしばらくしてふと思ったのは、こんなに互いを傷つけあうようなことを現実で言うかな、と。まあ本音を言わないと小説にならないかもしれないけど。そう思うと、構成とかサプライズとかも含め、ちょっとホラーファンタジーめいているような気もしてきたり。

あと、やっぱり「就職活動」って恐ろしいなとしみじみ思った。こういうのって日本だけなのかしら?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月10日
読了日 : 2013年6月9日
本棚登録日 : 2013年6月10日

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