人に親切をすることで、報酬を得て生活をする、という詩羽。
親切やサービスは無償である、という常識を覆し、さらにそれを成り立たせてしまった。
すごい物語です。
なんだか、この世のサービスやボランティアは無報酬である、というのがおかしいなぁと思う。
そして、無報酬ですることが尊いという価値観も変だなって思うし。
そういう、人の無償の善意に頼って作ってあるシステムってたくさんあると思う。
一人のお医者さんの善意にたよって時間外勤務をさせ、それがないと成り立たないシステム。
一企業の寄付に頼った慈善事業なんかも、システムがまわっている間はすばらしい活動だけど、その企業の力がなくなったらあっという間にシステムがなくなってしまう。
システムがなくなって困るのは慈善を受けている側の人たちだけど、文句も言えない。
詩羽のシステムは、その辺りのことをパスしてる持続可能なシステムなんじゃないかな。
人の愛とか正義に頼ったシステムは、経済的な問題に勝てなかったりする。
とか書いたけれど、そんなことはどうでもよくなるくらい楽しい、奇跡のような物語です。
愛じゃなく、論理的な理由を述べる詩羽はとっても冷静で楽しくて、でも愛にあふれていてステキな女性です。
読んで本当によかった1冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2009年に読んだ本
- 感想投稿日 : 2009年10月23日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2009年10月22日
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