キャスターという仕事 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2017年1月21日発売)
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本を読む、そして知る、学ぶ。とても大切なことで、この本を通してもそれを思いました。
国谷裕子さんの想像を絶するご苦労の一部を垣間見させてもらった感じです。ますます国谷さんファンの度合いが増しました。

学び、感動したもののほんの一部の抜粋。

〈本から〉
是枝裕和さん
「わかりにくいことを、わかりやすくするのではなく、わかりやすいと思われていることの背景に潜むわかりにくさを描くことの先に知は芽生える」

国谷さん
「新しい事象を新しい言葉で定義し、使用して、多様化している視聴者に共通の認識の場を提供する、このとが「クローズアップ現代」のような報道番組の大事な役割だと思って取り組んでいます」(『問う力ー始まりのコミュニケーション 長田弘 連続対談 みすず書房より』

日産自動車のゴーン社長
「曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。明確な定義を持つ言葉でコミュニケーションすれば、その人は自分の言葉に責任を持つようになる」

コペルの〈ナイトラン〉は視聴者に信頼され、2005年11月まで25年間続いた。〈ナイトラン〉に出演することは、コペルという「精細な秤」に載せられることを意味した。当事者が〈ナイトラン〉への出演を避ければ、視聴者に何か説明できない都合の悪いことがあるに違いないとまで思わせる存在感のある番組だった。

日本語の何となくストレートに聞けない曖昧さをどうやって排除していくか。それは、インタビューしていくうえで大きな課題だ。

危機的な日本の中で生きる若者たちに八か条
柳田邦男さん
一 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える   時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える
  力をつける。
二 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底に
  ある問題を読み解く力をつける。
三 他者の心情や考え理解するように努める。
四 多様な考えがあることを知る。
五 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に
  正確に理解してもらう努力。
六 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな
  人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かに
  する最善の道であることを心得、実践する。特に
  ボランティア活動など、他者のためになることを
  実践する。社会の隠された底辺の現実が見えて
  くる。
七 現場、現物、現人間(経験者、かんけいしゃ)こそ
  自分の思考力を活性化する最高の教科書だることを
  胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを
  心掛ける。
八 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することも   なく、自分の考えを大切にして地道に行動を
  続ける。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2017年3月16日
読了日 : 2017年3月16日
本棚登録日 : 2017年3月16日

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