中国という大難 (新潮文庫 と 26-1)

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  • 新潮社 (2013年4月27日発売)
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感想 : 22
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著しい経済成長、世界の工場、新たな市場、などと経済の文脈で語られる中国。その経済力は世界経済に影響を与えている。
そんな中国は実際どんな国か。本書は実情を取材したレポート内容だ。
大気汚染の話はよく聞いていたし格差が激しいと耳にしていたが、ここまでとは・・と読んでて驚きだった。特に水不足の問題は初耳。人民解放軍がどこまで共産党のコントロール化にあり、文民統制が末端まで行き届いているのか。ほんとの所は日本人には分からないのではないかと思ってしまう。それほど複雑な力学が権力の中枢で働いている。中国共産党と解放軍が一枚岩でもなく、きっちりと統率もとれていない実情に背筋が寒くなった。


中国国内の苛酷な生存競争と超絶な格差。医療・社会保障制度の未整備。人口の流動化。これらが引き起こす国民の社会不安や不満を外国相手にガス抜きする。あり得る話で中国だけの事例ではない。だが、周辺国としてはたまったもんじゃない。特に標的とされる日本は格好のサンドバッグだ。
隣に存在する以上、好悪を越えてうまくやっていくしかないのだが、ほんとやっかいな国が海を隔てた隣にいる。やれやれである。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2014年10月31日
本棚登録日 : 2014年10月30日

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