ヤクザと日本: 近代の無頼 (ちくま新書 702)

著者 :
  • 筑摩書房 (2008年1月1日発売)
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ヤクザの歴史を辿ると、別の顔をもった日本がみえてくる。

著者・宮崎学は「突破者」の作者であり、京都のヤクザ組長の息子として育ち、グリコ森永事件で重要参考人にもなったアウトローである。
本書は、近代ヤクザの成立を通して日本の近代化を解析した本である。
近代ヤクザは、炭鉱や港湾などで働く最下層労働者達が生きるために協力し合うなかから生まれた。それが発展し「組」となる。やがて暴力と顔とネットワークを形成して周縁社会のなかで社会的権力となった。

この近代ヤクザの力を利用したのが、政治権力である。急速な近代化を行おうとしていた明治国家は彼らを使い、国の統治と社会秩序に役立てようとする。教科書には出てこない日本近代化の一側面だ。


ヤクザ内部に働くロジック(義理と情、顔と腹)も詳しく解説されていて勉強になる。
この本を読むとヤクザと日本は、コインの表裏であることが分かる。ヤクザを知れば、日本の本質も見えてる。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2012年8月10日
本棚登録日 : 2008年1月19日

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