米在住の建築家による、副題どおり「現代都市をめぐるエッセイ」。本書は1995年刊行、著者は1944年生まれ。文章を読めば歴然とするように、いわゆるフランス現代思想をも含めた知の現代に通暁しており、その文体は軽やかで、ポストモダンのポスト・ポスト・ポスト・・・というような先端的な鋭利な視点を保っている。
建築のことはよくわからないが、都市論としてはなかなか鋭くて面白い。
日本に関する記述も、けっこう妥当に日本人の一般心理や社会慣習を突いていると思われた。
「日本のスケジュール——自由を奪う、書かれた牢獄。・・・日本では何もない自由時間に仕事が組み込まれているのではなく、仕事という基本体制から掘り出された例外的な状態を自由時間と言う。」(P137)
「『われわれ』は、日本人の『私』一人ひとりの陰に控えるゴーストライターだ。」(P140)
あくまでもエッセイであって、主題を厳密に追究する書物ではない。コールハース的軽やかさを味わいながら、楽しんで読んだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会学・経済学
- 感想投稿日 : 2015年10月18日
- 読了日 : 2015年10月15日
- 本棚登録日 : 2015年10月15日
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