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オデュッセイア 下(ホメロス) (岩波文庫 赤 102-5)
- ホメロス
- 岩波書店 / 1994年9月16日発売
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ホメロスによる叙事詩。タイトルは知ってるが読んだことないという方は多いのではないか?3000年前に書かれたのが信じられないほど面白い。祖国への苦難に満ちた旅路を描いたのが上巻。下巻は帰国後の物語となっている。
2024年3月6日
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誤解された歎異抄 (光文社文庫 う 9-1)
- 梅原猛
- 光文社 / 1997年9月1日発売
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古本屋で衝動買い。トンデモ本の誹りを受けても仕方ない著書の多い著者だが、本書はかなりまともな真宗学論であった。「歎異抄」が西洋近代哲学の影響を受けて、いかに歪んだ解釈をされてきたかを論じている。内容に共感できるところが多く、改めて気付かされた点も多かった。
2024年2月23日
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どろどろの聖人伝 (朝日新書)
- 清涼院流水
- 朝日新聞出版 / 2023年11月13日発売
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著者の本業は小説家で最近カトリックの洗礼を受けた人。「どろどろシリーズ」と言って良いだろうか?著者によるキリスト教を紹介する新書は、本書で3冊目になる。カトリック教会で聖人に認定された人たちを時代順に軽く紹介する内容。一人当たり2・3p程度なのでサクサク読めるのも良い。キリスト教への悪意ある質問の一部への返答となっている「あとがき」も読み応えがあった。
2024年2月21日
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死してなお踊れ: 一遍上人伝 (河出文庫 く 20-1)
- 栗原康
- 河出書房新社 / 2019年6月5日発売
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図書館で衝動的に借りた。「無政府主義=アナーキスト」を自称するマルクス主義者による一遍上人評伝。同じ言葉なのに漢字表記だったりひらがな表記だったりと、表記が不統一で非常に読みづらかった。踊り念仏を実施するシーンで「フォー」などの根拠不明で意味のわからない擬態語がやたらに出てくるのも不快だった。一遍上人による仏教的な清貧思想と自身のマルクス主義的な私有財産権否定とを強引に重ね合わせただけの内容で、教義についての説明も一面的かつ中途半端なのもいただけない。
2024年2月21日
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構造と力-記号論を超えて (中公文庫 あ 51-2)
- 浅田彰
- 中央公論新社 / 2023年12月21日発売
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読書会課題本。「あれこれ語られているようで、実は何も語られていない」そんな印象だけが残った。読み終わった後に何も残らない空虚な本だ。こんなのが一昔前に日本の哲学界を席巻していたのかと思うと暗い気持ちになる。特に、最終章での音楽についての議論はまさに噴飯物。
2024年2月8日
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飛ぶ教室 (新潮文庫)
- エーリヒ・ケストナー
- 新潮社 / 2014年11月28日発売
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著者は20世紀の中頃に活躍した児童文学作家。舞台はティーネージャーの通うドイツの架空の寄宿学校。「飛ぶ教室」はその学校のクリスマス会に上演された架空の演劇のタイトルである。”クリスマス”にふさわしい心温まるエピソードの詰まった一冊だった。これがナチスが台頭しつつある時代に書かれたことを思うと、とても心に染み入るものがある。
2024年1月31日
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観応の擾乱 - 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い (中公新書 2443)
- 亀田俊和
- 中央公論新社 / 2017年7月19日発売
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「観応の擾乱」とは南北朝時代にあった足利尊氏・直義の兄弟間にあった権力争いである。本書ではこれを多彩な一次資料を引用しながら簡潔にまとめられていて、とても読みやすかった。著者はこれまでにあった「足利尊氏は朝敵」という歴史観に異を唱えており、そこにも共感ができた。
2024年1月31日
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三毛猫ホームズの推理 (角川文庫)
- 赤川次郎
- KADOKAWA / -
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複数回のドラマ化もある人気シリーズ一作目。トリックなどに強引さは多少感じるけど、シリーズ化も納得の面白さであった。テレビドラマ版と違うところが多く「原作ではこうなってたのか」という発見があったのも面白かった。
2024年1月16日
読書会課題本。著者は本書で昨年「読売文学賞」を受賞。ヤンとヤネケの関係性は、多くのキリスト教に対してネガティブなイメージを持つ日本人にはわかりづらいのではないか?と思ったので、本書が文学賞を受賞したのは意外であった。
2023年12月31日
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行動経済学の使い方 (岩波新書 新赤版 1795)
- 大竹文雄
- 岩波書店 / 2019年9月21日発売
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著者は経済学者でコロナ禍の時に「分科会」にも所属していた人。行動経済学の基礎を初学者向けに書いた本で、読んでいて大学一年生向けの基礎講座を受講したような気分になった。巻末に詳細な参考文献一覧があるのも嬉しい。行動経済学について学ぶ時のとっかかりとして、最適となる一冊であるように思う。
2023年12月30日
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自然の家 (ちくま学芸文庫 ラ 6-1)
- フランク・ロイドライト
- 筑摩書房 / 2010年1月6日発売
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読書会課題本。著者は母国の米国内に世界文化遺産と後になる住宅を7つ残した20世紀を代表する建築家で、東京の帝国ホテルの設計に携わるなど日本とも縁が深い。そんな彼が理想的な建築や住宅について持論を述べている感じの一冊。あまり近代建築への知識がないのもあって、読むのに苦労したし、それほど楽しめなかった。
2023年11月22日
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ドラッカー名著集1 経営者の条件
- P.F.ドラッカー
- ダイヤモンド社 / 2006年11月10日発売
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読書会の課題本。経営者向けの自己啓発本。原題をそのまま訳すと「優秀な経営者」となるだろうか?会社経営者など、知的労働向けの本ではあるが、そうでない人にも参考となる記述は多い。またこういうテーマの本は、過去の成功体験をダラダラと述べているだけの本も多いが、本書はそうなっていないところも好感が持てる。
2023年10月30日
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死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)
- 七尾与史
- 宝島社 / 2010年7月6日発売
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映画レビューのYouTuberとしても著名な著者のデビュー作。「このミステリーがすごい大賞」の最終選考に残ったことで話題になった。文体が今風な感じで読みやすい。”本格ミステリ”を期待するとがっかりするだろうが、そういうタイプの読者はタイトルを見ただけでスルーするだろう。期待以上に楽しめた。一部で批判の多いオチも素直にクスリとさせられた。続編も読んでみようと思う。
2023年10月4日
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重力ピエロ (新潮文庫)
- 伊坂幸太郎
- 新潮社 / 2006年6月28日発売
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同著者の他の作品が面白かったので購入。映画化もされたベストセラー。しかし、犯人が結構早い段階でわかってしまい、ミステリーとして中途半端な印象だけが残った。読み終えた後も人気のある理由がよくわからなかった。また一部倫理観を疑う記述が散見されたのも残念だった。
2023年9月30日
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太平洋の試練 上 ガダルカナルからサイパン陥落まで (文春文庫 ト 5-3)
- イアン・トール
- 文藝春秋 / 2021年7月7日発売
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三部作に及ぶ本シリーズを一言で言えば「米国人から見た太平洋戦争」である。第二部上巻にあたる本書では「ガダルカナルの戦い」から「山本五十六の戦死」までを描いている。特に米軍側から描かれたガダルカナルの戦いは読んだことがなかったので、本書では米軍側の兵士の疲弊ぶりや具体的な被害状況などがわかり、とても新鮮に映った。
2023年9月23日
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古事記 (岩波文庫 黄 1-1)
- 倉野憲司
- 岩波書店 / 1963年1月16日発売
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読書会の課題本。言うまでもなく、日本最古の歴史書の一つ。約5回目の再読になる。純粋に物語として面白い部分はあるし、なんだかんだで本書に登場する神々に由来する神社は多いので、寺社仏閣巡りに興味ある人は一読しておいて損はないと断言できる。ちなみに本書には『現代語訳』は付いていないが、あれこれ言うほど難しい印象はない。
2023年9月14日
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死海のほとり (新潮文庫)
- 遠藤周作
- 新潮社 / -
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友人が、本書を読んだことをきっかけにカトリックの洗礼を受けたという話を聞いて読んでみた。聖書学者である友人とイスラエルを旅する「私」の旅日記風の物語と、福音書をいくつかの人物の視点からリライトしたような物語が交互に出てくる構成になっている。巻末の解説が著者と親交の深かった井上神父によるものであり、これも必読と言えると思う。
2023年8月21日
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京のキリシタン史跡を巡る―風は都から―もう一つの京都
- 杉野榮
- 三学出版 / 2007年6月1日発売
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著者はキリシタン研究で著名な牧師。キリシタン遺跡に特化した観光案内という感じの一冊。京都におけるキリスト教史にも触れることができて、色々と勉強になった。
2023年7月10日
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芽むしり仔撃ち (新潮文庫)
- 大江健三郎
- 新潮社 / -
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過去課題本。ストーリーは全くのフィクションだが、日本社会に今も厳然として存在する排他的な村社会の縮図がリアルに描かれていて、これが著者が20代の時に書かれた作品なのに驚く。タイトルの意味は最後まで普通に読めばわかる。
2023年6月7日
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何を信じて生きるのか
- 片柳弘史
- PHP研究所 / 2022年7月22日発売
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著者はカトリックの司祭。人生に関する諸問題について、キリスト教徒がどう考えているかについて書かれた本。世間一般では誤解されやすい聖句についての解説もあるのが良い。著者自身の宣教活動での実体験がベースなので、かなりの読みごたえがあった。
2023年5月31日
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三つ目がとおる 13
- 手塚治虫
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複数回の映像化もある人気作品。最終巻である本書では、連載末期の短編を6本収録。そして、連載末期なのも納得の内容だった。日本の昔話などが主題で、無理矢理感がある。さすがの手塚治虫も「ネタ切れ」を起こしていたのではないかと思われる。
2023年5月30日
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三つ目がとおる 12
- 手塚治虫
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いわゆる「ボルボック編」の後半部分と読み切り短編を1話収録。ここまで来ると、序盤の怪奇趣味っぽい面白さがあまりない。連載末期にあたる本書は、無理矢理感の結構ある話で、作者も息切れしてきたのではないかと想像される。次はいよいよ最終巻となる。
2023年5月26日
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葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
- 歌野晶午
- 文藝春秋 / 2007年5月10日発売
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ミステリー好きの知り合いの薦めでチョイス。2004年に日本推理作家協会賞や本格ミステリー大賞などなど、主要な推理小説に送られる賞を独占したことで話題にもなった。しかし、オチは想像の範囲内で不自然さが残る。最後に補遺として自己フォローしているが、言い訳にしか見えなかった。「犯人」も意外とあっさりと気づいてしまった。物足りなさの残る読後感である。
2023年5月23日