カール・セーガンと言えば「コンタクト」で有名な天文学者ですから、この本も星々に関するものかと思えばそうではなく、地球温暖化を始めとする環境問題や、米ソ冷戦による核開発競争が人類の破滅を招きかねないことなど、科学と人類の問題に対する警告と提言が中心だ。
決していたずらに危機をあおるものではなく、ただ科学者として誠実に考察すればするほど深刻さが増してくる事実を、冷静に淡々と語っている。出版されて10年あまり経ち、政治経済は劇的に変化したし、科学もそこそこ進歩した。それでも彼の危惧した問題は基本的にそのまま続いていると言えるだろう。
雑誌に寄稿したエッセイや講演の記録などを集めて構成されているため、全体としてはやや雑多な印象も否めないが、個々の文章の説得力はさすがに一流だ。
セーガンは1996年に病死しており、絶筆となった本書は彼の妻を始めとする人々によって翌年完成され、出版された。最終章は彼自身の闘病記で締めくくられている。享年62。早すぎるとしか言い様がない。
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- 感想投稿日 : 2017年6月18日
- 読了日 : 2009年5月9日
- 本棚登録日 : 2017年6月18日
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