六番目の小夜子 (新潮文庫)

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著者 : 恩田陸
O-bakeさん 小説   読み終わった 

現在旬の作家である恩田陸氏のデビュー作。
地方の由緒ある進学校を舞台にしたミステリー&ホラー&ファンタジー。
主人公は三年生の男女4人。そのうちの一人が小夜子という名の転校生で、物語を動かすエンジンとなる。小夜子を含む4人の一年間が、学校の伝統となっている「小夜子伝説」と絡まり絡まり合いながら、甘塩っぱく進んでゆく。まだ、ケイタイもデジカメもない時代の話で、待ち合わせは「いつもの喫茶店で」みたく、いかにも地方の進学校にありそうなエピソードが積み重ねられ、アラフォー、アラフィフ世代にとってはノスタルジーをかき立てられることこの上ない。
もうひとつ、重要な存在というか、舞台装置があって、それは「高校という場」。毎年毎年、三年生を送り出しては新入生を受け入れる学校は、それ自体特有の人格や力場みたいなものを持っているという話。この物語では、学校の持つ特別な力を「小夜子伝説」という形で具体化している。
毎年、卒業式のときに受け継がれる「小夜子」役。それは当事者以外に知られてはならず、知られないままにあるミッションを遂行しなくてはならない。もし伝統に逆らえば、小夜子役には不幸がふりかかるいう奇妙な伝説。誰が何のために始めたのかもわからないけれど、不思議な力に支配され、やめることもままならない。そのナゾは完全には解き明かされず、知っているのは校庭の桜の木のみ、というオチが味わい深い。
デビュー作なので、文体はあまり洗練されていないけれど、のちの恩田氏の作品を彷彿とさせる要素がたくさん詰まっている面白い作品。

レビュー投稿日
2017年4月5日
読了日
2017年3月10日
本棚登録日
2017年3月10日
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