完訳紫禁城の黄昏 (上)

  • 祥伝社 (2005年3月1日発売)
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 大清国王朝崩壊を皇帝・溥儀の家庭教師という立場からつぶさに観察したイギリス人の証言を綴った貴重な歴史書である。この地を支配した王朝の呼び名はあるが中国という国は過去には存在しない。西洋の民主主義思想が流入し、大清国王朝は緩やかに没落して行くのだった。政治的手案を持つ者はいるが起用する制度がない。権力者である西太后はいたって凡人であり、彼女に言い寄る愚者の甘い言葉を信じ更なる悲劇を生む。浅田次郎著の『蒼穹の昴』『中原の虹』はあくまでフクションと知る。

 歴史の真実とは、日露戦争で勝利した日本が当時既にロシア領となっていた満州を満州王朝に返したことである。このことがなければ広大な満州は戦後もロシア領であった可能性が高い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史・海外小説
感想投稿日 : 2016年2月10日
読了日 : 2016年1月28日
本棚登録日 : 2016年1月28日

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