動乱のインテリジェンス (新潮新書 493)

  • 新潮社 (2012年10月1日発売)
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本棚登録 : 549
感想 : 70
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佐藤優さんと手嶋龍一さんの、袈裟の下に鎧を隠した感じの対談集、でしょうか。

いや、非常に読み応えがありました、まさしく今の世界状況を読み解く道標かと。
少なくとも年内から来年夏くらいまでの状況は対応できる気に、なりました。

 「国家を真剣に守ろうと思えば、情報収集の手段は自前で構築する必要がある。」

これをベースに、自分なりの肌感と軸となる価値観を交えて、意見を確立しておきたいところ。
同じくお二人の対談である『インテリジェンス 武器なき戦争』も読み返してみようかな。

言われてみれば、なんだか妙に違和感を感じる昨今のTPP反対論ですが、
お二人の仰る「経済ではなく安全保障の視座での検討が肝要」とは納得です。

 「アメリカは「日本なきTPP」などあり得ないと考えています。
  ですから「日米豪」枢軸の安全保障・経済同盟に育てようと構想している」

地政学的にも、海洋国家と大陸国家の衝突はある意味宿命的だと思います。
それが故に、大陸国家が海洋権益を求めて外に出てきているのは、危険な兆候かと。

 「帝国主義の本質は、「搾取」と「収奪」にあります。」

ここ数年で「ゲームのルール」がガラリと変わっている(回帰している?)とも思います。
ホント、70年前の第二次大戦前夜に似てきたなぁ、、と改めて感じてしまいました。

 「国家の根幹が揺らいでいるいまこそ、近未来を見通して国益を守ることができる指導者に
  この国の外交と安全保障を委ねる時だと考えます。」

このタイミングでの〆のこの言葉、さて両氏が示している「指導者」とは、、気になります。

安倍政権の時の日豪安保共同宣言や、麻生さんの「自由と繁栄の弧」を鑑みると、
どう読み解いていくのかが、非常に鮮明に思い浮かべることができました、なんて。

あと個人的には、既存メディアの色眼鏡を通した内容ではなく、
真っ直ぐな視点からの、沖縄と北海道の現況を知りたいですが、うーん。

ん、来月の選挙を前にもう一度読み返しておくべきかと、感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2012年11月28日
読了日 : 2012年10月29日
本棚登録日 : 2012年10月28日

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