たったこれだけの家族―河野裕子エッセイ・コレクション (河野裕子エッセイ・コレクション 1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年7月10日発売)
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本棚登録 : 65
感想 : 8
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うたを詠み続けてきた人だから当然なのかもしれないが、この人もまた、すぐれた見者(Voyan)なのだなぁと思った。散文では、力の抜けた素直な筆はこびが好ましい。
同じ木の同じ枝にとまりつづけるふくろうを何度も見に行く話や、昭和三十年代頃の子どものころの生活の思い出などが面白い。いちばん好きなのは、はさみを使うようになった下の子が、部屋いっぱいの切りくずにうもれて、時間も周りも忘れ、長いこと一心に紙を切っている様子を観察するところから始まる「ひとり遊び」。子どもならみんな知っている、対象に身体ごと没頭するよろこびを、大人になっても、時に思い出したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ひと
感想投稿日 : 2012年9月30日
読了日 : 2012年9月30日
本棚登録日 : 2012年9月8日

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