飲んべえとしては他人事に思えない、アル中の男が定かでない記憶を追い迷路に迷い込むような短編作品。よく「カフカ的」という便利な言葉が使われるけれど、本作は語り手の頭の中だけがカフカ的であり、依頼されたはずの仕事どころか妻の特徴さえ思い出せない。幕切れもあまりに唐突であり、読んでいるうちにこちらまで酩酊してしまいそうになる。¥99と考えると、そんな精神世界を味わえたことで元は充分すぎるほど取れた。
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- 感想投稿日 : 2016年12月9日
- 読了日 : 2016年12月9日
- 本棚登録日 : 2016年12月9日
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