宮澤草雨「働かない男」
大学に合格するも長引く5月病でひきこもりのニートになってしまった三路、ひょんなことから高校時代の同級生矢島がAVに出演してると知り……。
「働く男」がテーマの今号で「働かない男」をテーマにしたマンガ。線はざっくりしてるけど絵は整っていて、作画もそうだけど作風も独特。
主人公のダメ男、三路(さんじ)の着ているTシャツの柄が3時を指した時計だったり、「風を感じさせる男」矢島が「ヴィレッジヴァンガード」で買って三路にプレゼントした「おしゃれな絵本」がエドワード・ゴーリーの「不幸な子供」※だったり、天井崩壊の最中に垣間見た矢島の幻影に飛びこんだら、手にしたのは彼が出演しているAVだったり、妙なテンションと演出がいちいちツボにはまる。
同人誌時代からずっと好きな作家でいつかオリジナルの作品を描いて欲しいなぁ、と思っていたので商業デビューは素直に嬉しい。これからもマイペースに作品を発表していって欲しいです。
※親を亡くしたシャーロットという女の子が理不尽かつ悲惨な目に遭いまくる、最後に死んだと思われた父親が帰ってくるが……。不幸が報われるハッピーエンドや救い等フォローやカタルシスが一切用意されていない。ある意味清々しい作品。これをプレゼントとして送ることが許される関係性って限られてくると思う。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2008年1月3日
- 本棚登録日 : 2008年1月3日
みんなの感想をみる